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人文学研究科長からのメッセージ

文学部の前身である文理学部が1949年に神戸大学に設置されて、来年で70年になります。その第1回入学案内は、敗戦後の日本の中で基礎的な学問を担う学部の必要性を、強く訴えています。

そこでは、日本の近代化の中で、基礎的な学問の探求、それを通じて養われる科学的精神の育成が軽視されてきたこと、それが敗戦後においても、依然として根強く学界、教育界を支配しており、日本の文化的水準の立ち遅れを生みだしており、その状況を変え、日本社会が世界的な文化水準に達するためには、「基礎的な学問軽視の弊風を徹底的に改め、科学的精神を身につけた健全な市民を育成することが最も急務である」として、総合大学の中で、基礎科学である人文学の役割が重要であることを主張してきました。

この理念のもと、神戸大学は、高い能力を持つ人文科学の研究者や専門職の養成を目指し、1968年には文学研究科修士課程を設置、1980年には博士課程のみの文化学研究科を設置しました。2007年には文学研究科・文化学研究科を改組し、人文学研究科(博士課程前期課程・後期課程)を設置し、博士課程前期課程から後期課程まで継続した体制を確立しました。

現在、学部設立時とは違った形で、私たちの世界は大きな変動期を迎えています。世界の人々を瞬時に結びつけるテクノロジーが急激に発達し、世界と国家、地域社会の関係、それを支えてきた価値観も大きく変動しています。また地球温暖化の進行によると思われる大規模な自然災害が続発し、日本列島では、阪神・淡路大震災や東日本大震災等、大規模な地震災害が日常化するなど、人間の存在自身が大きく脅かされる状況が生まれています。この中で、人間のあり方を根源から問う基礎科学としての人文学の役割はますます重要になっています。

人文学研究科は、このような現代社会に対して、人文学の領域から問題提起が出来る研究者、専門職養成を目標に、古典的な文献の原理的研究を進め、文化現象の現代的な意味を問う文化構造専攻と、古典研究を踏まえて社会文化の動態的分析を展開し、新たな社会的規範や文化の形成に資することを目指す社会動態専攻の二つを柱にして、カリキュラムを整備してきました。

哲学、倫理学、国文学、英米文学、中国・韓国文学、ヨーロッパ文学、日本史学、西洋史学、東洋史学、心理学、言語学、芸術学、社会学、美術史学、地理学、文化資源論の16コースを設け、各研究領域での専門性を強めています。また研究領域を超えて、現代社会の諸課題に直接向き合い、国際的な展開をはかるための実践的な授業群を、研究科内の共同研究教育組織である、海港都市研究センター、地域連携センター、倫理創成プロジェクト、日本文化社会インスティテュートの支援のもとで設定しています。さらに、グローバル人文学プログラムを実施し、学生の海外留学や派遣などを積極的に支援しています。国内では、人間文化研究機構及び、それに属する国立歴史民俗博物館、国立民族学博物館、国文学研究資料館と研究交流協定を結び、学生も含めた研究活動を展開しています。

このような中で、各研究領域をこえて、学生、教員間の研究交流が盛んに進められ、その成果は共同研究組織が発行する雑誌や、共同著作に反映されるとともに、各研究領域の新たな展開にも寄与しており、他にはない本研究科の強みとなっています。

阪神・淡路大震災を経験し、国際港湾都市として古代以来、歴史を紡いできた神戸の地から、私達とともに、新たな人文学を生みだしていきませんか。神戸港を望むキャンパスで、みなさんをお待ちしています。

人文学研究科長
奥村 弘

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