市民向け講演会・研究発表活動

2005年度

2005年度 2006年度 2007年度

「第6回 淡河歴史セミナー」
永田實氏(兵庫県立神戸高校)「農村歌舞伎舞台について」
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第一期灘大学「都賀川学」公開講座・シンポジウムおよび特別セミナー

【公開講座・シンポジウム】
・日時:2006年3月4日(土)13:10〜16:00
・場所:灘区民ホール(神戸市灘区岸地通1-1-1)
・報告:木村修二「都賀川かいわい今昔物語〜古文書・古写真から見る〜」
・参加人数:300名

 「灘大学」とは、灘区役所と灘百選の会が主催する市民学習講座で、「灘のまちを知り楽しく学ぶ」をモットーに様々な分野の講師を招いて講座・ガイドウォークなどが開催されています。第一期となる今年度は「都賀川学」をメインテーマに掲げ、2005年10月より全6回の講座が開かれました。第一期最後の第6回講座は、第一期修了記念フォーラムとして公開講座およびシンポジウムが企画され、当センター研究員木村修二が「都賀川かいわい今昔物語〜古文書・古写真から見る〜」と題する基調講演を行ないました。

 この講演では、当センターの主催で準備を進めつつあった展示会「篠原の昔と今―古文書と古写真―」に関わって、第3期として4月1日から神戸大学で展示予定の古文書を通して、都賀川に流域にあたる旧・篠原村の地勢の特徴について触れたあと、前日より同ホール1階ロビーで開催している展示会「篠原の昔と今―古文書と古写真―」第1期古写真展に出展している昭和初期の篠原を撮影した古写真を、現在の風景とともにプロジェクターで投影し、その古今の比較説明を行ないました。同時開催のかたちとなった写真展示についての解説を兼ねることができ、さらに第2期、第3期の展示会へむけた宣伝にもなって、まことに有意義な機会となりました。

 基調講演のあと、神戸歴史クラブ理事長・豊田實氏をコーディネーターとするシンポジウムが開かれ、過去の講座の講師陣とともに木村もパネラーに加わりました。このシンポジウムでは、都賀川が現代の地域住民に様々な形で「利用」されている現状が確認され、地域学としての「都賀川学」の可能性について議論がなされました。シンポの中で木村は、都賀川流域の各地区は、過去に何度も災害に遭っているにもかかわらずまだまだ残された史料が多く、今後さらに発見される可能性もあることを強調し、上流から下流までトータルな形で、現在に至る歴史的把握がある程度可能であり、またそれを目指すことが「都賀川学」にとって重要であることを発言しました。

【特別セミナー】
・日時:2006年3月4日(土)10:30〜11:40
・場所:灘区民ホール1階会議室(神戸市灘区岸地通1-1-1)
・報告:森田竜雄「天城文書と都賀荘」
・参加人数:70名

 灘大学公開講座に併せて当センター研究員森田竜雄を報告者とする特別セミナーが開催されました。このセミナーでは、現在の灘区より徳井地区を除いた大部分を荘域としていたと考えられる中世都賀荘について、、断片的ながら同荘の様相を窺い知ることのできるほぼ唯一の文書群である「天城文書」を中心に論じました。具体的な報告内容は、まず「天城文書」の伝来について述べたあと、室町期には都賀荘域において近世段階につながる村や寺が誕生していたこと、さらに室町後期には自治的村落共同体である「惣」が篠原においても形成されそれを中心に地域運営がなされたことなどが述べられました。報告終了後は、参加者から多くの質問が寄せられ、活発な議論がなされました。

(文責:木村修二)

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「歴史とまちづくり 富松城跡からの発信 ―地域歴史遺産の保存と協働のまちづくりについて考える―」での基調講演
市澤哲「歴史遺産と地域社会の関わりについて 地域歴史遺産を活用したまちづくり―富松地区の活動から学んだこと―」
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兵庫県公館県政資料館巡回展示での講演
松下正和「被災歴史資料保全活動と丹波の災害史」
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兵庫県生活文化大学・埋蔵文化財教室での講演

・企画 平成17年度兵庫県生活文化大学・埋蔵文化財教室
・テーマ 神戸のルーツ『福原京・港』と新大陸の考古学
・講演 坂江 渉「敏賣浦と古代の神戸」
・日時 2005年12月9日(金)14:00〜15:40
・会場 兵庫県民会館3階303号室
・主催 (財)兵庫県芸術文化協会
・共催 兵庫県教育委員会埋蔵文化財調査事務所
・参加者 40名

 兵庫県埋文調査事務所(共催団体)の関係者から依頼があり、平成17年度兵庫県生活文化大学・埋蔵文化財教室の講師を引き受けた。同教室の今年度のテーマは、「神戸のルーツ『福原京・港』と新大陸の考古学」で、本会はその8回目の講演会となる。約1時間30分で、「敏賣浦(みぬめのうら)と古代の神戸」と題する講演をおこなった。
 講演では、『万葉集』の中にもたくさん歌われ、神戸市内にあったと推定される敏賣浦というミナトにスポットをあてた。ここでは外国使節が航路来日した際、わざわざ寄港させ、敏賣の崎で「神酒」と「肴」を給付する外交儀礼がおこなわれる決まりがあった(『延喜式』巻21)。その目的や当地が儀礼の場に選ばれた理由などを考えることにより、古代国家の対外認識、および古代の神戸・西摂地域全体の政治的・外交的位置や、近代に至るまで、神戸の地が「港まち」として発展していった要因などについて明らかにした。

(文責:坂江渉)

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熊本大学文学部拠点形成研究講演会

・日時:2005年12月2日(金)18:00〜
・場所:熊本大学文学部(熊本市黒髪2-40-1)
・報告:松下正和「大学の地域連携事業と災害対応〜被災歴史資料の救出活動を通じて」
・参加人数:20名

 報告では、

  1. 神戸大学の地域連携体制と文学部地域連携センターの発足経緯の説明
  2. 災害研究にかかわるプロジェクトとして
    • 文部科学省平成16年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム「地域歴史遺産の活用を図る地域リーダーの養成事業」(代表=鈴木正幸先生)の「水損史料修復保全プログラム」
    • 平成16年度教育研究活性化支援経費「但馬・播磨・淡路の大水害における被災歴史資料の保全と地域連携体制の構築に関する研究」(代表=奥村弘先生)研究分担者としての活動を紹介
  3. 文学部地域連携センターのNGO「歴史資料ネットワーク」への協力について、2004年10月発生の台風23号による被災歴史資料の保全活動への協力活動を例に挙げながら紹介しました。

 最後に、未指定文化財を含めた歴史資料のリスクマネジメントとして、歴史資料の所在把握と、行政・地元住民との日ごろからのネットワーク作りが重要であることを述べ、熊本県内の災害発生時には史料保全ネットワークの核になってほしいと要請しました。

(文責:松下正和)

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兵庫県公館県政資料館巡回展示での講演
木村修二「地域歴史遺産としての古文書」
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全史料協研修会(福井大会)

・日時:2005年11月9日(水)13:00〜15:00
・場所:福井県国際交流会館
・主催:全国歴史資料保存利用機関連絡協議会
・研修会F「資料保存のネットワーク」<発展コース・意見交換会>
 松下正和(神戸大学文学部)「被災地の自治体と住民との連携による被災歴史資料保全活動」
 白井哲哉氏(埼玉県立文書館)「100年の射程から今後を考える」

 松下報告では、

  • 「歴史資料ネットワーク」の発足経緯と活動概要
  • 但馬と丹後地域における台風23号被災歴史資料保全活動に関する成果と課題

について報告し、災害時の救出活動と平時の防災対策について検討しました。

 白井報告では近現代の資料保存の取組を

  • 1940年代までの郷土教育と密接する資料保存
  • 1950〜60年代の社会運動としての資料保存
  • 1970〜80年代の行政主体の資料保存運動
  • 1990年代以降の新たな「下から」の動き

と時期区分し、地域社会、自治体や公的機関、市民活動、担い手養成の四つの立場からそれぞれの時期の特徴を検討されました。

 質疑では愛媛・岡山・福井での水害対応について、鳥取・和歌山での民間所蔵資料の把握についての報告がなされました。
 また、行政の職員が災害対応しやすくするために被災地からの派遣依頼の必要性も提起されました。
 最後に、行政が出来ることと出来ないことボランティア団体(史料ネット)が出来ることと出来ないことをより明確にすべきだとの意見がでました。
 災害時の未指定文化財保全が後回しにならざるをえない行政と、災害対応が可能な人材と保管スペースが不足する大学と、被災の渦中にある市民の三者は、それぞれ固有の困難を抱えている。しかし、お互いのもつ強みを出し合いながら三者が連携し、ネットワークを日常から作ることで、災害時における被災資料への保全対応の基礎が作られるのではないか、と提起しました。

(文責:松下正和)

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講演会「青野原俘虜収容所の世界」
講師
岸本肇氏(神戸大学教授)・藤原龍雄氏(夢前中学校長)・福島幸宏氏(京都府立総合資料館)
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有馬温泉太閤展での講演

・講演 村井良介「羽柴秀吉楽市制札の意義」
・日時 2005年9月10日(土)
・会場 念仏寺
・主催 有馬温泉観光協会

 神戸市教育委員会を通して依頼があり、有馬温泉太閤展(2005年7月7日〜9月11日)において、有馬温泉と同じ神戸市北区の淡河で確認された羽柴秀吉楽市制札に関して講演をおこなった。
 講演では、制札の内容と、発給の背景を解説するとともに、なぜこの制札が、現在の戦国期都市史研究において重要視されているのかについて論じた。また、制札が、住民・行政・大学の三者の連携事業の中で確認されたことの意義についても述べた。

(文責:村井良介)

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「第5回 淡河歴史セミナー」
仁木宏氏(大阪市立大学)「淡河市場・城下町と秀吉の楽市制札」
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佐用郡地域史研究会総会講演会での講演

 佐用郡地域史研究会は、地域にねざした歴史・民俗等(古文書・古道・石造物・絵馬等)の調査研究をおこない、その研究成果を「研究紀要」として刊行している地域史研究団体の一つである。事務局のおかれている佐用郡教育委員会社会教育課(当時)の藤木透氏から連絡があり、自治体合併を前にして、佐用郡4町(佐用町・上月町・南光町・三日月町)の公文書を含む歴史資料の保存・活用問題や、地域史研究との関わりについての講演要請があった。5月31日(火)に、同会会長の八雲凱美氏と藤木透氏の案内のもと、佐用郡4町の各役場や資料館・図書館等に赴き、歴史資料や文化財の保存・活用をめぐる事前概略調査をおこない、その上で、次のような講演をおこなった。

・期日:2005年6月18日午後1時30分から
・会場:佐用郡南光町地域福祉センター
・主催:佐用郡地域史研究会
・参加:約30名
・講演:坂江 渉「地域の歴史遺産の保存・活用と住民・自治体・大学の連携 ―合併を前にして―」

 講演では、まずこの間のセンターの調査活動を通じ、兵庫県下で歴史遺産や文化財をめぐりかなり厳しい状況が続いており、とくに「平成の自治体合併」等により、いくつかの具体的な弊害(専門職員の削減、庁舎移動による公文書の消失の危険性、歴史的地名の消滅等)が生まれている事実がみえてきたことを指摘した。ただそうした中にあっても、県内各地で「元気のある」住民活動や行政の取り組みが動きつつある状況を述べ、(1)住民が主人公という姿勢の堅持、(2)地域生活史への視点、(3)情報発信とネットワーク作り、(4)住民活動をサポートする公的な歴史関連施設の有効利用、という四つの観点の重要性について述べた。その上で、佐用郡4町の地元に根ざした佐用郡地域史研究会が、今後も地域遺産の掘り起こしとその継承をすすめ、さらに自治体や(場合によって)大学とも連携しつつ、上記のような視点を踏まえた活動をおこなっていくことが期待される点を指摘して、講演を終えた。
 なお講演会終了後におこなわれた同会の総会では、当時の佐用町長、上月町長、南光町長、三日月町長、佐用郡教育町あてに、「佐用郡4町の合併に伴う公文書を含む歴史的資料の保存について」という要望書が採択された。その中では、今回の合併にあたり、関係する各機関・役場担当者が、これまで保存・継承されたきた公文書等を、「十分な配慮と認識をもって新町へ引き継」ぎ、さらに今後は、「公的に資料を収集保管できる体制」そのものが、整備されていくことを要望する旨が決議された。

(文責:坂江渉)

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