◇概説
北東アジア周縁域については、豊岡(日本)、東海(韓国)、延吉(中国)、内埔(台湾)での調査を予定している。いずれも大都市・首座都市(圏)から離れたところに位置する地方都市である。本研究では、これらの地方都市と周辺農山漁村との関係によって成り立つ地方社会に焦点をあて、これを「地方的世界」として分析する。
調査地の概要は、以下のとおりである。

豊岡市(日本)
兵庫県北部に位置し、日本海に面している。面積約700平方キロメートル、市域の約8割を森林が占める。人口約9万1千人、約3万2千世帯(2007年5月)。
東海(トンヘ)市(韓国)
江原道に位置し、日本海(東海)に面している。面積約180平方キロメートル、市域の76%を林野が占める。人口約9万7千人、約3万7千世帯(2007年5月)。
延吉(イエンチー)市(中国)
中国東北部の吉林省東部、延辺朝鮮族自治州の首府で、長白山北麓の山間盆地に位置する。面積約1,350平方キロメートル。人口約41万3千人(2004年末)。朝鮮族58.0%、漢族39.7%。
内埔(ネイプ)郷(台湾)
台湾最南端の屏東県の中心部に位置し、県庁所在地の屏東市より東南に約10キロ離れている。面積約820平方キロメートル。人口約6万人、約1万7千世帯(2007年4月)。客家系住民60%、ビン南系住民35%。(註1
これらの地方都市は、それぞれ独自の歴史的形成と発展の過程を辿り、周辺地域との間に関係を築いてきた。そして、今日では、インターネットや携帯電話の普及などによる情報化の進展、海外出稼ぎ・国際結婚などの国境を越えた移動・移住の増加、外国人観光客や都市住民に焦点を置いたツーリズムの振興などにより、さまざまな変容がみられる。 まずは、それぞれの「地方的世界」の個性を把握することにつとめたい。その過程で、それぞれの「地方的世界」間の係わり合いや、共通点・相違点が明らかになってくることを期待している。
・註1 ビン南。「ビン」はもんがまえに虫。
小林 和美(大阪教育大学)
2009年度調査報告
○台湾
○韓国
2008年度調査報告
○台湾
○韓国(東海市住民自治センター)
○韓国(東海市商店街)
○中国(延吉)
2007年度調査報告
○台湾
○韓国
○日本
○中国(延吉)
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