◇概説
延吉市は中国吉林省の東部、長白山の北ふもとに位置している。国境都市としてロシアのウラジオストク市、北朝鮮の清津市と「金三角」(国連図門江経済開発区)を結ぶ一角となっており、注目されている。
延吉市は1902年に清朝政府によって延吉庁の名で設立されたが、新中国建国以後の1953年に延吉県から県級市に昇格した。その後「八の市・県」で構成されている延辺朝鮮族自治州の首府となった。延吉市は1985年に中央政府から全国甲級開放都市として指定されており、とりわけ今年(2008年1月4日)は、全国双擁活動指導者チーム、民政部、解放軍総政治部の表彰大会によって、全国双擁模範都市(双擁:「地方は軍を支援し軍人の家族を優遇、軍は政府を支援し人民を愛護すべし」というスローガン)に指定されている。延吉市がこの名誉を獲得したのは6年間連続のことである(吉林新聞2008年1月7日)。
延辺朝鮮族自治州の政治、経済、文化の中心となっている延吉市の面積は1350平方Kmで、総人口は約403万人、16種類の民族が暮らしている。その内、朝鮮族が約57%を占めている。
現在、延吉市には建国後全国的に最も歴史が長いと言われている少数民族大学 ― 延辺大学と6つの専門学校がある。延吉市民の平均教育レベルは全国的に高いと評価されているが、これらの教育施設は民族文化教育に大きく貢献している。
延吉市の主な産業としては食品、医薬、タバコ、包装・建材、紡織・衣類、機械製造業などをあげられるが、なかでも観光業が注目されている。
一方で、近年の延吉市は大きな動きを見せている。それが、2008年の年明けに中国メディアでもっとも権威的な存在である中国中央テレビのニュース番組でトップニュースとして報じられたもの――「延龍図一体化」――である。
2006年の年始、延辺自治州委員会、自治州政府は、延吉市、龍井市、図們市の3都市の経済的一体化戦略方針をうち出した。つまり、《延龍図都市空間発展企画要綱》を制定したのであるが、2007年6月には吉林省政府から、最終的に中央政府から正式な許可が降りている。
《延龍図都市空間発展企画要綱》によると、過去長期にわたって延吉市は発展空間の制限、労働力資源不足などの制限を受けた。また龍井市と図們市も経済発展の原動力不足などから経済発展がほぼ停止状態にまで至っている。このような局面を打開するために3つの都市の資源を相互利用し、有力に整合することが必要不可欠であった。「延龍図一体化」によって行政都市として規模を拡大し、地域都市の知名度を高め、競争力を引揚げることにその狙いがあることに間違いない。
自治州の州長は、この政策について「まず延吉市、朝陽川鎮行政政区画調整に関連している事業を推進し、延吉と朝陽川都市施設統合をはやめる。次に、延龍図一体化によって3つの都市の投資、税収、敷地、料金徴収などすべてを統一化し、同時に3つの都市が同等な経済的待遇をうけること。最終的には延辺地域、さらに吉林省に新しい経済成長をもたらす、新しい政策である」と述べている。
表 延吉市の人口推移
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1990年 |
1995年 |
2000年 |
2005年 |
2006年 |
?人口(万人) |
28.32 |
35.62 |
38.95 |
42.04 |
42.91 |
朝?族(人) |
171465 |
211200 |
228401 |
242565 |
247686 |
?族(人) |
106986 |
139620 |
152662 |
167984 |
171174 |
其他民族 |
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(資料)延辺統計年?2006

延吉市の様子
朴 成日(中国青島大学)
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