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知識システム 芸術学専修

「好き」にこだわる感性と、「好き」をクールに分析する知性。

芸術学とは

造形芸術、音楽、演劇、写真、映画など、「芸術」は、人類の生み出した最も偉大な精華のひとつとして、汲み尽くせない意味をもって私たちに語りかけています。この語りかけに学問的に応えること、それが、芸術学専修の目指していることです。
古今東西、多様なしかたで現れる芸術の研究方法には、次のふたつがあります。ひとつは、芸術一般を原理的、理論的に考察すること、もうひとつは個別の芸術ジャンルを具体的に分析、研究することです。前者では、芸術創造のメカニズム、芸術体験の構造、想像力の問題、また芸術ばかりでなく自然美や身近な美しいものに触れたときの美的経験、共通感覚など、論理や数値では説明しがたい興味深いテーマも扱います。また、後者の個別芸術の研究では、造形芸術(建築・デザイン論、現代アート論)、映像芸術(写真論、映画論、メディア・アート論)、上演芸術(演劇・舞踊・パフォーマンス論、クラシック/ポピュラーを含む音楽論)などが主な対象となります。とはいえ、このようなふたつの研究方法には共通点があります。それは、美的経験にダイブする感性と、好きや趣味への耽溺からあえて身を引き離し、冷静に分析しようとする知性です。

授業では

講義、演習、卒論演習から構成されています。講義は、さまざまな美学思想や芸術理論を概観し、諸芸術をめぐる具体的なトピックを取りあげて多角的に考察していきます。スタッフは少ないですが、諸分野からの非常勤講師(例えば現代舞踊、マンガ研究など)によって、広い芸術領域をカバーしています。演習では、芸術理論に関わる基礎文献の読解と、個々の作品分析に力点を置きます。ここでは学生が主体的に参加し、資料の扱い方、作品へのアプローチ法などを修得します。卒論演習では、卒論作成の準備として主に3、4回生が発表を行い、全員でディスカッションします。1、2回生もテーマの選び方や発表方法などを学ぶ意味で積極的に参加してもらいたいと考えています。

教員の紹介

教員名 専門分野
教 授 長坂 一郎 建築学・デザイン論。主担当は文学部人文情報学専修。ものを「使用する」という側面からデザイン理論の再検討を行い、人間中心主義に代わるデザイン理論の可能性について考察している。
准教授 大橋 完太郎 芸術学・表象文化論。近現代のフランスを中心に、人間やその知のあり方と芸術・技術や自然との関わりを考えています。

最近の卒業論文から

  • 「現代におけるコラージュ」
  • 「楽器演奏と身体―マリンバ曲〈〈Rhythmic Caprice〉〉研究―」
  • 「webマンガはどのように読まれているのか」
  • 「廃墟ブームにみられる廃墟観の変容」
  • 「日本のミニチュア―江戸小物細工にみる縮小の日本文化―」
  • 「アトラクション、映画、ツアー ―ヘイルズ・ツアーと現代の受容経験」
  • 「歌集という世界―穂村弘『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)―』を通して」
  • 「道化とジェンダー」
  • 「相米慎二『台風クラブ』研究―『台風クラブ』を支配する不穏なものの正体について―」
  • 「「百合」の漫画表現学的分析」
  • 「ピピロッティ・リストのビデオ・インスタレーション研究―世界に色を取り戻すビデオアーティスト―」
  • 「アニメーションとテクノロジー ―『トイ・ストーリー』作品分析―」
  • 「シンディ・シャーマンの写真作品におけるおぞましさ」

卒業後は

民間企業(新聞、出版、広告、商社、運輸、金融、建築、製造などの各業種)に就職する者のほか、公務員になる者、また芸術への感性を生かしてマスコミ、都市計画、デザイン関係で活躍する者、大学院に進学して研究を続ける学生など、さまざまです。なお、困難な道ではありますが映像作家や脚本家へと進んだケースもあります。映画監督などの実作活動へと進んだ者、海外でフリーのライターやジャーナリストとして活躍している者もいます。

教員からのメッセージ

デザインされた建築やモノ、芸術作品や映像配信が絶え間なく語りかけてくる現代の生活において、感性の領分はますます重要性を増しています。芸術学は、各ジャンルの作家や作品を分析するだけでなく、さまざまな感性の仕組みや、それが生まれた歴史的経緯、それを触発する具体的な環境を対象とする学問です。多様な文献を読み解く語学力を鍛える必要はありますが、自ら研究計画を立てることのできる人にとっては、芸術学の勉強は人間の創造性や文化の源を探るこの上なく魅力的な旅となるでしょう。

(大橋 完太郎)

卒業生からのメッセージ

卒業論文では、メディアテクノロジーを利用したライブパフォーマンスについて 研究しました。劇場で数多くの作品に携わる今、ライブパフォーマンスのあり方が更に変貌を遂げていくのを目の当たりしていま す。まるで毎日がこの研究の延長のようで、探究心は尽きません。「芸術学」は、 自分の好奇心を舵取りに、様々な知識の海へ自由に漕ぎ出せる、最高にスリリングで楽しい学問です。きっとあなたにしかできない、航海が待ち受けているはずです。         

(2011年3月卒業 樽井 環 梅田芸術劇場勤務)

リンク

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