阪神・淡路大震災資料の保存・活用に関する研究会

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第4回 震災資料の活用を考える

 さる10月3日、阪神・淡路大震災人と防災未来センター 防災未来館 プレゼンテーションルームで、第4回阪神・淡路大震災資料の保存・活用に関する研究会が開かれました。テーマは、「震災資料の活用を考える」。報告者は、深井純一氏(立命館大学産業社会学部教授)、山口一史氏(ひょうご・まち・くらし研究所常任理事)、水本有香氏(人と防災未来センター資料室資料専門員)の3名。震災から10年をむかえ、震災関連資料の活用実例に目をむけ、資料の可能性を生かす方法を探ろうとするものでした。
 まずはじめに、深井純一氏によって、「北但馬震災の資料発掘の経過と教訓」の報告がありました。80年前に兵庫県北部を襲った北但馬地震を対象に、当時の豊岡中学生の体験を綴った作文集の発掘やそれを公開する過程での問題点などの指摘がありました。山口一史氏は、「震災資料はだれのものか」と題し、被災地の共有財産である震災資料をどのように生かしていくかについて、利用者の立場からの報告でした。人と防災未来センター資料室所蔵の一次資料を、センターでのボランティアコーディネーター講座のテキスト作成に利用していることも報告されました。水本有香氏(人と防災未来センター資料室資料専門員)は、「人と防災未来センター資料室における震災資料の現状・課題」と題し、現在の資料室の状況や昨年3月から6月にかけて開催された「震災資料の公開に関する検討委員会」について話されました。
 休憩のあと、参加者の間で活発な質疑応答がおこなわれました。今回は、阪神・淡路大震災だけではなく、80年前の北但馬震災での資料も取り上げられました。80年前の震災資料を視野に入れることで、今回の震災資料の課題がより浮きぼりされました。また、意見交換を通じて、震災資料の現在の状況の共通認識の確認に有意義な会となりました。(出席者 21名)

(文責:佐々木和子)

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