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尼崎市にある富松城跡には、現在も城の防御施設である土塁と堀の一部が残ってます。1991年から2000年にかけて、富松城跡と、その北に隣接する東富松遺跡Bの発掘調査がおこなわれ、堀跡などの遺構や遺物が発見され、その城の規模や築城時期についても明らかになってきました。
富松城は、16世紀前半の畿内の戦乱について記述した軍記物『細川両家記』に数度にわたってあらわれ、戦国期の西摂地域における重要な軍事拠点であったことがわかります。
しかし、この富松城跡の土地は個人の所有であったため、2001年12月、相続税として国に物納され、競売にかけられる可能性が出てきました。これを受けて、地元では、富松城跡を保存し、町づくりに生かすことを企図して、富松城跡を活かすまちづくり委員会(以下、まちづくり委員会)が発足し、2002年11月から12月にかけ、まちづくり委員会主催で「見直そう尼崎の宝・中世の富松城展」(以下、富松城展)が、富松神社において、五日間開かれました。
バーチャル富松城歴史博物館
この富松城展の成果を生かし、また富松城や富松地域について、広く発信することで、富松城跡の保存・活用を進めるため、まちづくり委員会と神戸大学文学部地域連携センター、行政が連携して、インターネット上に仮想の博物館として「バーチャル富松城歴史博物館」が作られました。
この富松城歴史博物館は、仮想のものですが、立地や外観や各フロアの構成など、現実の博物館のように設計されています。こうした設計や展示について話し合う過程は、住民と研究者が博物館というもののあり方について考え、理解を深める貴重な機会ともなりました。
地域連携センターでは、特にこの富松城歴史博物館の常設展示室A「文献史料から見た富松城」の「展示」を担当しています。
富松城歴史博物館はインターネット上の仮想の博物館であるという特性を生かして、今後も引き続き発展させていきます。
詳しくは、富松城歴史博物館に「ご来館」になって、展示をご覧下さい。
そのほかの取り組み
まちづくり委員会では、このほかにもシンポジウムの開催など様々な取り組みを進めています。地域連携センターは、シンポジウムなどにも協力しています。まちづくりシンポジウムについてはこちらをご覧ください。
2007年6月には、『もっと知りたい 中世の富松城と富松』が、まちづくり委員会から刊行されました。富松城にまつわる歴史を中心に、富松の歴史文化について紹介した本です。地域連携センターも編集・執筆に協力しました。研究者だけでなく、地域の人々が多く執筆に携わっています。
もっと知りたい中世の富松城と富松 富松城跡を活かすまちづくり委員会編 発行 富松城跡を活かすまちづくり委員会 2007年6月刊行 B5版 171ページ 2000円(送料別) 富松城の歴史を中心に、尼崎市富松地域の歴史文化を紹介。購入方法はこちら。 |
(文責:村井良介)