「郡役所文書の世界」展
神戸大学文学部地域連携センターと兵庫県公館県政資料館の共同企画、特別企画展示「郡役所文書の世界」が、6月19日の月曜日、兵庫県公館県政資料館の第1展示室で始まりました。
センターと資料館の間では、昨年、同館所蔵の歴史資料を活用し、学生自らが史料分析を加え、その制作・展示までをおこなうという企画案がまとまりました。センターとしては、これを通じて、学生の歴史教育におけるインターシップの導入をはかるとともに、「地域歴史遺産の活用を図る地域リーダーの養成」事業の推進をめざしています。
今回の企画展示対象に選ばれた史料は、同館が所蔵する「宍粟郡役所文書(しそうぐんやくしょもんじょ)」。同文書は明治前期から大正末年頃におよぶ計67冊の簿冊からなり、かつて全国的に設置されたいた郡役所の役割や機能をみる上で貴重な史料群といえます。このうち実際に分析・展示できたものはわずかですか、会場ではそれが、「I教育事業(二部教授)」「II公有林整理事業」「III壮丁教育-兵役をひかえて-」「IV罹災救助事業」の4つのグループに分けられ、それぞれに解説展示が加えられています。
文学部の奥村弘教授(地域連携センター事業責任者)のゼミナールでは、1年以上の月日をかけて、この文書群の分析・研究にあたり、今回ようやくその展示にこぎつけました。
同教授の指導をうけて、実際に分析・展示制作にあたった学生・院生たちからは、「史料の実物に触れて分析や研究ができたのはとても嬉しかった」、「いつも自分が観る立場にいる展示物を現実に制作できたのは良い経験になった」という声がだされた反面、「展示パネルのキャプション作りなど、誰がみてもわかりやすい展示にすることの難しさをよく理解できた」などの感想が寄せられました。
今後、文学部地域連携センターでは、このような実践的な共同企画を積極的にすすめることにより、各地の歴史文化の担い手となる「地域リーダー」の育成をはかっていきたいと考えています。
なお6月19日の午前中には開会式がひらかれ、鈴木正幸副学長と大原義弘兵庫県企画管理部教育・情報局長によるテープカットもおこなわれました。また同日午後には、展示制作を指導した奥村弘教授による展示解説セミナー「兵庫県の地方自治と郡役所の成立」がおこなわれ(兵庫県民会館にて)、60名以上の市民・学生が聴講しました。
- 「郡役所文書の世界」展の会期は、6月19日から7月18日まで。
- 展示会場は兵庫県公館県政資料館の第1展示室
(地下鉄県庁前駅の東出口2番すぐ。JR元町駅から徒歩5分) - 展示期間中の土曜日午後には、展示制作にあたった学生による簡単な解説があります。
- 詳しくは、078-362-4133(兵庫県公館県政資料館)にお問い合わせください。
- 入場無料
(文責・坂江渉)