「神戸を中心とする文献資料調査」は、地域連携事業の一環として歴史資料ネットワークおよび神戸市文書館の協力をえながら取り組んでいる活動です。
戦後の大きな時代の変化に耐えてなんとか遺されてきた阪神地域の数多くの文献(古文書)資料が、不幸にも阪神淡路大震災が原因で散逸してしまったことを、震災後に始められた史料ネットの緊急調査活動によってわたしたちは知りました。加えて、調査を進めるにつれて震災以前から既に消滅してしまっていた多くの文献資料があったこともわかりました。しかしそういった状況にも関わらずなお地域に遺されている資料も少なくありません。
それらの事実により、わたしたちは平常時において地域に遺された文献資料の所在確認を行なっておくことがとても大切なことを痛感しました。これら地域の「記憶」そのものである文献史料群を将来へ引き継いでいくためにも、継続的な所在把握・保全を行ってゆく必要があると考えています。
神戸地域における調査済・未調査の文献資料の所在確認と安否確認調査
(1)財産区管理会への調査
神戸市文書館および神戸市行政局財政部管財課の協力を得て、神戸市内の各財産区管理会への調査を実施しています。これまでのところ神戸市東灘区および灘区の財産区への調査が実現し、何件かの重要な情報を既に得ております。
(2)個人所蔵家への調査
ここでいう個人所蔵家とは文献資料を所蔵されている家々のうち、主に財産区に属さない家々を指しています。
→神戸市中央区北野地区における活動
(3)資史料所蔵機関への調査
神戸市または兵庫県内を中心に文献資料所蔵機関((公)文書館、博物館、図書館など)への調査を進めています。また、それらの機関が発行した文書目録なども調査・収集しています。
史料の公開とそれを活用した新たな学術的成果の構築
以上のような調査の結果、得たデータや情報は可能な限り公開(データベース、「デジタル古文書館」など)してゆきたいと考えております(個人情報は除く)。
さらに、まだ実現には至っていませんが、調査・収集した文献資料を活用して展示など行ない、調査で得た成果を地域の方々へ還元するような試みも計画しております。