Jamie McHugh特別講義&ワークショップ
「ソーマティック・イクスプレッションとは何か」
2011.12.01up
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ISMETA公認の身体運動療法士にしてパフォーマンス・アーティスト
ジェイミー・マヒュー(Jamie McHugh)氏による
講義&ワークショップ!
あらゆる身体技法を包括した身体表現メソッド
<Somatic Expression>の極意を学ぶ!日時・場所
※当日は動きやすい服装でお越しください
主旨
マ ヒュー氏はソーマティクス(somatics)を、「自分のからだをどう扱うかを学ぶ、実践的な<オーナーズ・マニュアル>」、身体やその動きへの気付き を深めることを通して「自らを知る」ためのテクノロジーと規定し、呼吸や瞑想、日常動作等、身体知の意識化を通じた自己の発見・解放・癒しが、共同体や生 活環境を含んだ自然のヒーリングの前提となるというエコ・ソーマティクスecosomaticsを提唱している。このような観点はハルプリンの開拓した道 筋を引き継ぐものであるとともに、21世紀に生きのびている古層の知、「芸術と生活術・養生法の結びつき」という古代哲学・修行論・修養論にも通ずる問題 圏において新たな伝統を築くものと言いうるかもしれない。
問い合わせ先;芸術学研究室 秋吉康晴
yasuharuakiyoshi(at)gmail.com (@に変えてください)
第6回神戸大学芸術学研究会
「脳/美学―脳科学のイメージ(論)」
2011.10.26up
日時・場所
主旨
「脳の10年」とも呼ばれた1990年代以降、脳科学は「心」のメカニズムにかんして次々と新しい発見をもたらしている。その成果はいわゆる自然科学の 領域を超えて、人文学の領域にも少なからず影響を与えてきた。それは美学・芸術学とて例外ではない。「神経系美学」と呼ばれる分野は、脳科学を積極的に応 用しながら美学を鍛えなおす新たな可能性を提示している。しかし、視覚イメージと脳機能の関係を明らかにしようとするこうした試みは、その方法自体が脳を イメージ化し、解読する様々なイメージ実践(脳地図やfMRIなど)に基づいているということをしばしば忘れているようにも思われる。本研究会では、脳と イメージを媒介するこの脳=イメージに光を当てながら、脳科学と美学の結節点を探りたいと思う。
プログラム
- 司会:主旨説明(秋吉康晴/神戸大学)
- 第一部:脳=イメージの認識論 (13:00~)
〇「脳画像の認識論-脳画像を用いた認知研究の落とし穴-」
井上研(科学哲学/名古屋大学)
〇「脳・メディア・芸術」
岩城覚久(美学/関西学院大学大学院)
&真下武久(メディアアーティスト/成安造形大学)
休憩(10分)
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第二部:脳/美学の系譜学 (15:00~)
〇「原始の心―認知考古学的アプローチの諸問題―」
唄邦弘(美学/神戸大学大学院)
〇「神経美学の批判的系譜学」
門林岳史(表象文化論/関西大学)
休憩(10分)
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全体討論 (16:00~17:00)
発表要旨
井上研「脳画像の認識論-脳画像を用いた認知研究の落とし穴-」
fMRI やPETなどの脳機能イメージング研究は、認知や言語などの高次認知機能の解明に大きく貢献している。近年その研究領域はより複雑な行動における神経的基 盤の解明へと広がりを見せている。経済活動(神経経済学)や投票行動(神経政治学)などはすでに多くの研究がなされている。美的判断や美的経験の神経科学 もまた「神経美学」として研究が始まっている。しかし、脳画像から高次の認知機能について何が言えるのかは極めて微妙な問題である。脳画像から何について どこまで読み取れるものなのか。本発表ではfMRI研究を取り上げ、その原理を解説した後、その限界を定める要素、脳画像の解釈にかかる問題について考察 する。
真下武久×岩城覚久「脳・メディア・芸術」
今日、そ れが私たちの心に対応しているか否かにかかわらず、脳波や脳血流のデータ(物質)はテクノロジーを通じて「知覚」され、「行動」へと延長され、「情動」へ と折り返されている。このような状況下で、私たちは脳=データとのあいだにどのような回路を構築することができ、またそれは、私たちのイメージ経験をどの ように変容させるのだろうか。本発表では、メディアアートの諸実践などを手がかりとしてこうした問題を考えます。
唄邦弘「原始の心―認知考古学的アプローチの諸問題―」
19世紀のネアンデルタール人の発見以降、考古学者たちは、遺跡や遺物の分類・体系化を通じて、原初の人間の姿を明らかにしようとしてきた。それに対し て、近年の認知考古学では、考古学的な資料の不確定さを補うために、先史時代の人々の心に注目している。その前提となるのは、脳の発達段階と心の発達との パラレルな関係である。本発表では、19世紀から現代に至る先史学において、脳機能の解明がどのように「心」の起源の解明に利用されたのかを明らかにする ことで、現在の考古学と認知考古学という二つの学問が陥っている諸問題を明らかにしてみたい。
門林岳史「 神経美学の批判的系譜学 」
近年議論され始めている神経美学/神経系美術史の言説において、「美」というカテゴリーはどのような場所を占めているだろうか。そこで目論まれているのは 美的経験を外部から観察可能な脳の機能ないし現象に還元し、そのことで「美」が占めるべき場所を超越性から実証性へと移し替えることだろうか。しかしなが ら、こうした「美」をめぐる超越性と実証性の抗争は、こんにち初めて演じられているわけではない。本発表は、前世紀転換期の美学/美術史言説を振り返り、 そこで心理学という新しい学問が「美」にどのような転位を迫ったかを検討することで、神経美学の射程を批判的・系譜学的に考察する。
問い合わせ先;芸術学研究室 秋吉康晴
yasuharuakiyoshi(at)gmail.com (@に変えてください)
第45回「文芸学研究会」研究発表会
2011.09.17up
日時・場所
研究発表者
- ・金坂拓(神戸大学)
- ・勝又泰洋(京都大学)
- ・小野恵理子(神戸大学)
発表要旨
金坂 拓「聞く彫像と踊る彫像―ラモー作曲のオペラ《ピュグマリオン》と彼の音楽理論との関係について」
ラモーの音楽理論については感覚論的な側面が強調されがちだが、それは実践的な側面も併せ持っている。彼の理論を反映したオペラ《ピュグマリオン》における彫像の描写は、音楽の始原における受動的な段階から能動的な段階への移行を表している。
勝又 泰洋「ルーキアーノスのヘーロドトス像」
ルーキアーノスは、紀元後2世紀に、ローマ帝国内でギリシア語を駆使して活 躍した弁論家である。彼は、「第二ソフィスト時代《(おおよそ紀元後1世紀から3世紀)の文人たちの例にもれず、ギリシアの古典期(紀元前5世紀及び4世 紀)という偉大な過去に目を向けて著述活動を行った。そんな彼が自作の中で比較的多く言及しているのが、紀元前5世紀の人へーロドトスである。本発表で は、ルーキアーノスの著作においてへーロドトスへの言及がある箇所をいくつか拾い出し、ルーキアーノスがヘーロドトスのことをどのような人物として提示し ているのか、考察を試みる。
小野 恵理子「飾りと語り―オーウェン・ジョーンズ『装飾の文法』とショク(木偏に卒)物学の関連から」
本発表はオーウェ
ン・ジョーンズの主著『装飾の文法』をショク物学との関連から考察する。ショク物の形態を抽象化することを目指した彼の主張は、当時のショク物学の理論に
裏打ちされていた。ショク物学の普及とデザイン改革の進展を重ね合わせることで、19世紀当時の自然表象と装飾の関係について再考する。
「説明台本を基礎とした弁士の機能に関する総合的研究」研究発表会
2011.02.05up
研究会主旨
無声映画を研究しようとするならば、語り芸や伴奏音楽、ライブ・パフォーマンスといった受容空間の諸要素を、等閑視することはできない。しかしそこ には、多様な研究領域を横断するがゆえの困難もまた存在する。今回の共催企画は、映画と音楽に関わる二つの研究発表を通じ、それぞれの専門的知見から、無 声映画をめぐる共同研究の可能性について議論していきたい。
日時・場所
- 2011年2月5日(土)14時~
- 神戸大学人文学研究科視聴覚室
- 視聴覚文化研究会共催・早稲田大学演劇映像学連携研究拠点 2010年度公募研究
研究発表者
- 大傍正規(早稲田大学演劇博物館グローバルCOE研究助手)
「無声映画と蓄音器の音、その継承と断絶について―フォノ・フィルム、キネトフォン、フィルム・ダール」 - 今田健太郎(大手前大学非常勤講師)
「活動写真をとりまく音:広告、舞台進行、上演」
特集「タイムマシン/タイムトラヴェル」
2011.01.29up
- 日時:2011年1月29日(土)14時~18時
- 場所:京都大学文学部新館第六講義室
- 14:00-14:30 研究発表
- 加藤隆文(京都大学大学院)「不死性の問題―パースを手がかりに」
- 14:45-18:00 特集「タイムマシン/タイムトラヴェル」研究報告+ディスカッション
- 「タイムマシン/タイムトラヴェルにおける身体―H.G.ウェルズ『タイムマシン』を中心に」
太田純貴(京都大学大学院/日本学術振興会特別研究員(DC2) - 「タイム・トラヴェルの空間性:見えざる第三の眼」
松谷容作(神戸大学大学院/神戸大学人文学研究科学術推進研究員) - 「タイムトンネル試論―時間移動の表象不可能性をめぐって―」
吉岡洋(京都大学大学院)
- 「タイムマシン/タイムトラヴェルにおける身体―H.G.ウェルズ『タイムマシン』を中心に」