丹波市との連携事業

地域連携センターは丹波市教委と共同で、地域住民の協力をえながら、自治会や旧家が所蔵している歴史資料の所在確認を行い、丹波市の歴史を総合的に研究するためのデータ整備や史料の保全・活用体制を構築することをめざしています。

棚原との連携

春日町棚原の古文書整理からスタート

 丹波市春日町棚原地区住民は、地域の寺社や古文書などの地域歴史遺産を保護・継承して後世に伝え、まちづくりを行うために「棚原区パワーアップ事業推進委員会」を結成しました。
 地区内の古文書の整理方法・解読法や、歴史遺産の活用方法について相談を受けた地域連携センターは、2006年2月から翌年7月まで、地区の庚申堂に保管されている自治会所蔵文書の調査・整理作業を、棚原地区住民や丹波市教育委員会と共同で進め、寛永4年(1627)から現代までの文書約1000点の目録を取り終えることができました。

「古文書を読む会」の開催

 目録の作成後、住民に成果を還元せず、大学に研究成果のみを持ち帰るというかつての大学の史料調査スタイルの反省に立ち、我々センターは、史料を守り続けた先人と今後も守り続けていく住民の両者を意識した活動を行っています。「古文書は読めないから捨てられる。捨てられるから地域の歴史が伝わらない」という悪循環から脱し、史料の来歴と中身を知って、利用していくことが保全へと繋がっていくと、私たちは考えています。そのためにセンターは、庚申堂で保管されていた自治会所蔵文書を地区住民とともに解読していく中で、隣村との山論や、地区の産土神である天満神社など地区の歴史を掘り起こしています。なお、その成果は地区住民にパンフレット「ここまでわかった棚原の古文書 パートI・II」として全戸配付されています。

棚原の歴史を親から子へ語り継ぐ

 まちづくりを担っていく次世代へ地区の歴史を語りついでいくために、「古文書を読む会」での研究成果を、小中学生やその親御さん向けにわかりやすく解説する「ふるさと棚原をもっと知ろう親子講座」を開催しました。テーマは一番身近な天満神社関係の文書をとりあげました。講座後には、子供たちが提出してくれた鳥居の絵や感想文をまとめた図録を作成し、配付しました。この講座をきっかけに、「参加した保護者がお年寄りから昔の神社の様子について聞き取りをした」、「当日参加した児童が参加できなかった児童に神社の話を聞かせてあげていた」ということがあったそうです。この講座が、地域の歴史を語りつぐきっかけづくりになったといえるでしょう。

丹波市との連携事業

丹波市と神戸大学大学院人文学研究科との協定へ

 住民と共同での古文書整理(目録取り)と古文書内容の読解(講演会・パンフ全戸配付・展示会)といった「棚原モデル」の成果は、地区住民の文書に対する保管意識の向上や、地区の歴史に関する内容理解のさらなる深化という形で現れています。
 このような「棚原モデル」の取り組みが高く評価された結果、2007年8月には、丹波市域の歴史文化遺産の調査・研究・保全、またそれらの活用による地域活性化や、活用しうる人材の育成に貢献することを目的として、「丹波市と神戸大学大学院人文学研究科との地域活性化の連携協力に関する協定」が締結されました。

丹波市全体への広がりに向けて

 2007年度の事業は、山南町の調査からスタートしました。具体的には、山南町17地区の区長を対象に、自治会などで所蔵されている古文書・古写真や建造物、その地域の歩みをしめす地域の歴史遺産の有無、保存状況、調査歴、寄託希望の有無についてアンケート調査を行いました。現在、若林区有文書の調査が終わり、若林家所蔵の「丹波国絵図」などを再発見することができました。その調査成果は、現地説明会で還元しています。今後も丹波市内の各町、各地区単位で調査活動を展開してまいります。 今後とも皆様のご協力をお願い申し上げます。

行事案内

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