越前町織田文化歴史館との連携事業

 福井県の旧織田町は、約5千人ほどの人口をかかえ、原始・古代以来の文化財や歴史遺産が豊かな町の一つである。2005年(平成17年)2月の「平成の大合併」で、越前町になったが、それ以前から地元の歴史に対する町民の意識や興味は高かった。すでに1971年(昭和46年)には、『織田町史』通史編が刊行されている。これ以降、当地の歴史に関する研究は格段の高まりをみせ、2003年(平成15年)、そうした研究成果を踏まえた新町史編さんの要望が、町民から織田町長(当時)に寄せられた。それを受け町では、2004年度(平成16年度)に至るまで、編纂計画や執筆者選定等が協議されるともに、翌年2月の合併後も、これを継続事業とし続けていくことが決定された。
 そのような中、2005年(平成17年)9月、当センターは、越前町織田文化歴史館(町史編纂主管部局)との間で、当事業を共同研究事業としておこない、歴史文化を活かしたまちづくりを支援していくための、「共同研究契約」を結んだ。これにより新しい町史(『越前町織田の歴史』〈仮称〉)の編纂・執筆・監修等に、当センターの研究員が関わるほか、町の文化財や歴史遺産の保存・活用についても、センターが協力することになった。
 今年度は、2006年度(平成18年度)中に刊行予定の『町史』(古代・中世分野)のうち、古代分野の執筆活動の一部を支援し、坂江が監修を担当し、古市晃氏(大阪歴史博物館学芸員)が、具体的な調査研究をおこなった。現在、古市氏がそうした研究成果にもとづき本文を執筆中である。
 今後ともセンターと歴史館との間では、近世以降の分野も含めて、共同の調査研究を継続する予定である。さらに編纂終了後も、収集した歴史資料等を活かした町づくり事業を共同ですすめたいと考えている。なお同館学芸員の高木久史氏は、神戸大学大学院(日本史)の出身で、町側を代表して具体的な連携事業にあたってもらった。

(文責:坂江渉)

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