新修神戸市史の編纂事業

 『新修神戸市史』編纂事業は、1982年に編集委員会が設置され、神戸市文書館を中心に編纂・刊行を進めてきましたが、阪神・淡路大震災などの影響により、一時期中断していました。しかし、2006年度から、「歴史編II 古代・中世」の基礎調査と成果の普及活動に関する共同研究について、当センターが委託を受け、編纂事業が再開されました。
 当センターでは、基礎調査として、神戸市域を中心に史料調査などを進めています。調査で撮影した写真を神戸市文書館で閲覧できるようにし、多くの方が史料を利用しやすい環境を整えていく予定です。こうした市民の方々や研究者の閲覧・利用に配慮して、史料調査に際しては、中世の史料だけではなく、近世や近代の史料についても調査を行っています。さらに成果の普及のために、調査成果を活かした講演会や展示会の企画、『新修神戸市史』のwebページの作成などを行っています。
 2006年には、神戸市文書館・神戸市教育委員会・新修神戸市史編纂委員会の主催で、展示会「中世石峯寺の古文書と出土品」を、神戸市文書館において開催しました。また、2008年には、同じく展示会「神戸の中世再発見」を開催しました。2006年の展示会では、市史の調査で発見された石峯寺(神戸市北区)の中世文書などを展示し、2008年の展示会では、同じく新出の「神戸市北区山田出張所旧蔵文書」から、中世文書などを展示したほか、長く京都大学に寄託されており、数十年ぶりに神戸市に里帰りした押部谷小学校蔵・神戸市立博物館保管「蒔絵桜花南蛮人文絵鞍」を展示しました。これらの展示会の期間中は、当センターの研究員や、本学の大学院生が常駐し、展示解説を行ったほか、2008年度には市民向けに展示史料を用いた古文書講座も行いました。
 このように、調査成果を市史の執筆に用いるだけでなく、編纂を進めながら、成果を公開し、多くの人が、刊行された市史だけではなく、自ら史料に接することができるようにする、新しい自治体史編纂のモデルを構築する試みを進めています。
 『新修神戸市史 歴史編II 古代・中世』は2010年3月に刊行されました。
 なお、詳しくは『新修神戸市史』のwebページをご覧下さい。

▲このページのトップへ ▲トップページに戻る