伊丹における連携事業
小西新右衛門文書の世界

猪名川通船・馬借関係史料の解読

 2003年度および2004年度、伊丹市との連携事業において猪名川通船関係史料の再調査と史料集の作成を行いました。
 猪名川通船関係の記録は川西市・池田市・猪名川町・伊丹市等に残されており、各自治体史で採り上げられていますが、今回は池田市の「蝸牛廬文庫」に蔵されている猪名川通船および馬借関係史料を中心に調査を行い史料集としてまとめました。

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ひなまつり@伊丹郷町館

 2003年度、国の重要文化財に指定され、伊丹市中心市街地に保存されている「旧岡田家住宅・酒蔵」の活用および市民へのアピールのためと、この年に伊丹郷町館内に事務局を置く伊丹市文化財保存協会に雛飾りが寄贈されたのを機に、3月のひな祭りにあわせて旧岡田家住宅・酒蔵において「ひなまつり@伊丹郷町館」を開催しました。旧岡田家住宅・酒蔵をどのように活用するかを出発点とし、市域のまちづくりグループや歴史愛好グループに集まっていただき、まずひな祭りにふさわしくと、絽刺し(刺繍)のグループから、打掛けや帯、訪問着、小物などすばらしい作品を出していただき、また伊丹市東野地区の「なんきん桃ブランド実行委員会」から特産品のなんきん桃の展示即売、そのほか、計八グループと市教委、市まちづくり課などの協力を得て、3月3日のひな祭り前後の6日間の展示と2回の伊丹郷町の歴史についての講演会を行いました。
 翌年の第2回はひな飾りが3組に増えました。今回は絽刺しに代えて「屏風・ふすまに描かれた四季」をテーマとしました。期間中1回、まちづくり活動についてのシンポジウムを持ちました。パネラーは当センターの奥村副センター長をはじめ地域のまちづくりグループから五人の方々にお願いしました。
 2005年度は、三組のひな飾りと、1969年に伊丹市松本公団文化財愛護少年団が自分たちの学習成果を形にしたカルタとそれをもとに作成した伊丹市のイラストマップを中心とした展示でした。自治会から昭和30年代の伊丹の風景等のフィルムも上映され、琴・鼓を和楽器屋さんから出展していただくなど、多くの方々の協力によって開催することができました。
 4年目から「ひなまつり@伊丹郷町館」は伊丹市文化財保存協会が中心となり、引き続き開催されています。開催期間も長くなり、大きなひな飾りを部屋に置けない住宅事情のなかで、立派なお雛様は市民に喜ばれているようです。

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歴史まちづくりトークサロン

 2004年4月24日、伊丹郷町館石橋家住宅において、地域の歴史資料の保全や歴史文化を活かしたまちづくりを考えるトークサロンを、歴史資料ネットワークと連携して、開催しました。伊丹市域を中心に近隣において歴史・自然を生かしたまちづくりに参加・活動しているグループに声を掛け、取り組みについての指針、課題、抱負などの情報交換を行い、今後の活動の参考や横のネットワークづくりに寄与できればとの趣旨で開催した企画です。
 16の市民グループの代表、伊丹市会議員、同市職員、学校教員等、計27名の参加を得ました。内容の詳細については「史料ネットNews Letter」37号(2004年5月) に紹介しています。
 後日、いくつかのグループの交流やボランティアガイドの依頼などもあり、少しずつ広がりもありました。まちづくりに取り組んでいるグループはそれぞれ横のネットワークの必要性を強く感じてはいますが、どのように連携できるかを模索している中でのこのトークサロンは一定の意義があったと思います。

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伊丹酒造組合文書の調査・目録作成

 伊丹酒造組合は、伊丹市・猪名川町・三田市・川西市の酒造会社五社が加盟する酒造組合です。同組合との連携事業として、現在伊丹市の小西酒造本社内に置かれている事務局に蔵されている組合文書の目録の作成と一部史料の解読を行いました。この史料は、小西新右衛門氏文書(小西酒造)と同質のもので、明治12年(1879)、伊丹酒造組合が結成されたとき、小西新右衛門氏文書のうち酒造仲間に関する一部の史料が分離したものと考えられます。内容は、近世から戦前にいたっています。史料として箱詰めで保管されていたものは目録化しましたが、戦後の書類がダンボール詰めで残されており、2009年度はこの史料の目録化を予定しています。

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酒造家文書勉強会と古酒の復刻

 9年ほど前、小西酒造創業450年の記念行事の一環として、当時預かっていた小西新右衛門氏文書によって元禄15年(1702)に江戸へ積み出された清酒「白雪」を復刻しました。1年ほどの準備期間をとって技術の方々と勉強会を持ち、頭をひねりながら出来た酒は、以来販売されています。これが契機となり、自社にこのような史料があることをはじめて知り、それを活用した酒造りができるということに興味を持たれた社員の方たちが古文書の勉強をはじめたいと、2003年「小西新右衛門氏文書」・「伊丹酒造組合文書」を中心とした勉強会がはじまり、2005年から、史料を検討し、文政8年(1825)の「白雪」の再現に取り組みました。
 元禄の酒からおよそ120年後の酒の味は、史料の上から元禄の酒とは違った味であることは推測できたのですが、出来上がった酒は予想以上に現在の酒に近いもので、元禄の酒との違いに驚いたものです。
 史料に記されたことがこのように如実に再現でき、販売にまでいたるという貴重な経験は古文書の研究では得がたいものです。このような酒造りは、当家に史料が残され、当時の場所で今も操業し、かつ、この酒を造ってみようという会社の意志がそろってはじめてできたことです。古文書勉強会に参加されている方たちも古文書にある種の新鮮さを感じながら、史料が実際に生かせるものであることを認識され忙しいなか勉強会は続けられています。
 文政の酒が出来た後、2007年2月、白雪長寿蔵ミュージアムにおいて、毎月開催されている「伊丹歴史探訪」のなかで、シンポジウム「古代の酒から現代の酒へ」が催され、小西酒造の技師、当センターの研究員がパネラーとして参加しました(入場者155人)。

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御願塚における連携事業

 伊丹市域の南部、御願塚地区に残る古墳時代中期の帆立貝式前方後円墳は県・市の指定文化財になっており、御願塚史跡保存会が中心となって古墳のまわりの環境整備や保存、また他地域の古墳の見学会などを行っています。史跡保存会とかかわりを持つようになり、古墳だけでなくまちづくりを考えようと提案したことから、古墳を中心に地域の情報誌が発行され、次に地域のイラストマップづくりがはじまりました。
 この地区は1975年の山陽新幹線の開通にともない、旧集落が南北に二分され、寺や神社が移転し、村のかたちが大きく変わりましたが、かつての面影を多く残している地域でもあります。
 マップの作成委員は六人、毎月1回夕方から地域の神社の社務所で例会を開き、完成を目指していますが、マップの完成が終わりではなく、地域内外へのお披露目や今までの作業で収集した聞き取り事項、新たに発見した事物等々の報告会や、地域の古文書、古い生活道具の展示会を開き、御願塚情報を地域内外に発信し、御願塚を考える機会をつくって行きたいと話し合っています。

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