朝来市との連携事業
再発見 銀山の遺産

 2003年11月に、旧兵庫県朝来郡生野町(以下、旧生野町)教育委員会から神戸大学文学部地域連携センターに生野書院保管の古文書の再整理の依頼を受けたことをきっかけとして連携事業がスタートしました。
 生野町は鉱山で栄えた町として長い歴史を持っています。生野書院には生野代官所関連文書ほか、近世の生野町、さらに周辺の村々の様子や人々の暮らしがわかる史料が多数保管されています。古文書再整理事業は、これらの文書が町民の方々にとってより活用しやすいものとなるようにと進められてきたものです。生野書院
 2005年3月23日に旧生野町と神戸大学は新たに地域連携事業を進めるための協定「連携協力に関する協定」を結びました。同年4月1日以降、旧生野町は朝来郡3町と合併して朝来市となりましたが、この協定は新市に引き継がれました。
 以降、定期的に、神戸大学の学生と町民の方々が一緒になって史料の整理を行ってきました。整理したことで得られた成果は、古文書講座や展示などのかたちで、町民の方々に公開してきました。
 そうしたなかで、あらたに初心者の方々が自主的に集まって「古文書初級教室」を組織し、古文書を整理するだけでなく、読み解いていく活動が始まりました。現在でも月2回、15名程度が生野書院に集まり、「銀山旧記」など江戸時代の古文書を読み進めています。古文書初級教室
 神戸大学との「連携協力に関する協定」は、2008年3月に期限をむかえましたが、今後も地域連携センターでは、朝来市教育委員会やや「古文書初級教室」の方々とも協力しながら、生野書院文書をはじめとする地域にのこされた史料の活用と保存について考えていきます。
 なお、これまで行われた事業は下記の通りです。


歴史・古文書講座の実施

■2008年2月23日 座談会「生野の昔話」 場所:生野書院

旧家にお住まいの方をお招きして、江戸時代の生野について語る座談会を開催しました。大学院生も多く参加し、旧家に古くから伝わる昔話に耳を傾けました。

■2007年2月18日 場所:生野マインホール

地域連携センター研究員が、「生野代官所の情報ネットワーク」と題した講演をおこないました。幕末の生野に入ってきたさまざまな情報と、それを処理した掛屋の役割について紹介しました。続いて、ご来場いただいた町民の方々をいくつかのグループにわけ、当日参加した大学院生を講師として、それぞれのグループごとに古文書の現物を解読していきました。

■2006年2月18日 場所:生野書院

地域連携センター研究員が、生野書院の古文書からあらたに明らかになった史実を紹介し、同時に初心者向けの古文書講座を行いました。この講座は、同年4月からも引き続いて行われ、このとき参加したメンバーが中心となって、のちに「古文書初級教室」が発足しました。

■2004年12月10日 「江戸時代の古文書に触れてみよう!」
  場所:生野町民会館

神戸の深江生活史料館副館長大国正美氏から古文書の基礎知識とともに、地域における古文書の活用・保存の問題に関する小講演をいただきました。続いて来場いただいた町民の方々をいくつかのグループにわけ、当日参加した大学院生を講師として、それぞれのグループごとに古文書を解読していきました。テキストは事前に大学院生が生野書院文書の中から選び出し、撮影・印刷したものを利用しました。

展示の実施

■2008年2月23日−3月9日 企画展「朝来郡の村々と元文一揆」
  場所:生野書院

「古文書初級教室」と地域連携センター研究員・大学院生が協力して、元文一揆と当時の朝来郡の村々に関する展示を準備しました。「古文書初級教室」の方々が、生野書院にのこる記録を読み解いていくなかで、疑問に感じたことなどを調べ、パネルにまとめて展示しました。これは、地元の方々が、地元にのこる古文書を用いて、自ら地域の歴史を描くことの難しさと面白さを体験してもらうことを目的として企画したものです。

■2005年10月2日 「もうひとつの生野〜江戸時代の生野をたずねて〜」
  場所:生野書院

地域連携センターの研究員と大学院生が、生野書院文書の展示と史料の解説を行いました。古文書を展示ケースのなかに入れてしまうのではなく、閲覧者にも古文書や絵図などに直接触れていただくことで、歴史史料の質感を感じてもらいました。

(文責:添田仁)

▲このページのトップへ ▲トップページに戻る