地域歴史遺産の活用をはかるリーダー養成のための教育プログラム

 当センターは、地域歴史遺産の保全・活用をできる人材の養成・教育(学生・社会人教育プログラム)も、重要な事業の一つに位置づけています。これまで文部科学省の現代GP「地域歴史遺産の活用を図る地域リーダー養成」事業(2004年度採択)、魅力ある大学院教育イニシアティブ「国際交流と地域連携を結合した人文学教育」(二〇〇五年度採択)などの支援を受け、リーダー養成のための教育プログラムの開発に努めました。
 その結果、開発された教育プログラムが、2007年度から文学部と大学院人文学研究科の正式科目として採用され、特に「地域歴史遺産活用研究」「地域歴史遺産活用演習」(前期課程)「地域歴史遺産活用企画演習」(後期課程)の三科目が、人文学研究科の選択必須共通科目として位置づけられました。
 三つの科目のうち、「地域歴史遺産活用研究」(学部講義名は地域歴史遺産保全活用基礎論)は、各地の地域歴史遺産の現状と課題を把握し、その活用のための基礎的知識と能力をつける入門講義です。また「地域歴史遺産活用演習」は、地域歴史遺産の分類・整理・解読・展示活用などの実践的方法を学び取る専門的演習、「地域歴史遺産活用企画演習」は、その活用ための企画展示等を自治体関係者や地域住民と一緒に企画考案する実践的演習です。
 専門コースの学生・院生は、この三つの科目を全て履修し、専門外コースの学生・院生は、まず「地域歴史遺産活用演習」を取得し、自分自身の関心と興味にしたがって「地域歴史遺産活用企画演習」を履修することが望ましいと指導されています。
 なお、人文学研究科では、2008年度から大学院教育改革支援プログラム「古典力と対話力を核とする人文学教育」が採択され、学域横断的な研究・教育によって大学院生の人文学的素養を総合的に向上させることを目的とした事業が進められています。「地域歴史遺産の活用を図る地域リーダー養成」事業で開発された実践的な教育手法は、ここでも人文学の研究成果を市民にアウトリーチするための先進的な方法論として重要な役割を果たしています。