専修紹介

西洋史とはなんなのでしょう?
どんなことが学べるのでしょう?
以下では、「西洋史学とは」の項目で、大まかな西洋史研究のイメージを説明します。
また、「文学部西洋史専修について」「人文学研究科博士課程について」で、
それぞれ学部生と大学院生の授業の様子、進路などについて紹介します。


ギリシア、デルフィ遺跡(撮影:佐藤昇)

西洋史学とは

歴史学とは何をするのかと問われますと、実のところ、これはなかなか手強い質問です。 とりあえずは、過去の人が遺したもの(史料)を手がかりに、その歴史的・社会的な文脈(意味)を読み取り、その時代の有り様を探ることでしょうか。 こうした作業を通じ、我々が現在抱えているさまざまな問題(民族問題、国際紛争、貧困、ジェンダー、環境資源)の根幹が、大きな枠組みの中で、立体的に見えてくるかもしれません。 あるいは今とは異なる「過去」を知ることで、世界のリアルな多様性と芳醇さ、生々しさを感じ、さらにそこから転じて、自分自身の自己理解が深まるかもしれません。 グローバル化、多様性、異文化交渉の重要性が叫ばれる現代社会において、人の、社会の、世界の複雑性に正面から取り組む学問とも言えるでしょうか。
さて、「西洋」史というからには、空間的には主に「西洋」、つまりヨーロッパやアメリカを中心的に扱うことになります。 しかし実のところ、「西洋史」はの扱う範囲もっとずっと幅広く、例えばヨーロッパとアジアの関係などもまた、研究の射程に入ります。 多様な視点から、柔軟に(そしてもちろん論理的に)思考し、研究することができるのです。


フィレンツェ、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のステンドグラス(撮影:高田京比子)

文学部西洋史専修について

教育
当専修には4名の専任教員が所属し、古代から現代までそれぞれの専門に応じた教育・研究を行っています(教員紹介をご覧ください)。 また、毎年、非常勤講師の先生をお招きし、専門の講義をしていただいています(2022年度は岸本廣大先生(古代ギリシア・ヘレニズム史)、図師宣忠先生(中世ヨーロッパ史)、2023年度は桑山由文先生(古代ローマ史)、池上俊一先生(中世ヨーロッパ史)が担当してくださいました。2024年度は佐々木豊先生(アメリカ政治外交史、国際関係史)、橋本伸也先生(帝政期ロシア史)、立石洋子先生(現代ロシア史)がいらっしゃいます)。
当専修が開講しているのは、1年生向けの「人文学導入演習(西洋史)」「人文学基礎(西洋史)」、2年生以上向けの「特殊講義」と「演習」です。
「人文学導入演習」「人文学基礎」では、専任教員が担当し、入門的な文献の講読や、初歩的な調査・発表などを通じて、西洋史学に関する基礎的な知識を提供したり、 あるいは西洋史学がどのような問題を対象として研究されているのか、1年生向けに導入的な授業を行います。
「特殊講義」では、各教員がそれぞれの専門分野について、自身の研究を活かし、最先端の知見を、しかし分かりやすく紹介します。 「特殊講義」を通じて、当該分野の理解を深めるばかりではなく、西洋史学の問題意識、論理的思考を養うことができます。
「演習」は大きく、外書講読と卒業論文準備演習に分かれます。 外書講読では、西洋史学研究に必要な外国語文献(英・独・仏)の読み方を学びます。 語学の力を磨くと同時に、論文を読む・書く際の論理的思考、書き方の作法などを身につけていきます。 卒業論文準備演習では、学生それぞれが自主的に学んだ成果、卒業論文の経過報告を行います。 ここでは、報告の仕方、レジュメ作成方法を実践的に学ぶと同時に、質疑応答、討議を通じて論理的思考を養成することができます。
「卒業論文」とは、学部生が研鑽を積んだ、その最終的な成果です。 史料を読み解き、先行研究と格闘し、自らの力からで論理的に思考して、歴史学研究の一端に触れていくことになるでしょう。 卒業論文のテーマは、専任教員の専門とは関わりなく、学生自らの関心に従って自由に見つけ出すことができます。 過去の卒業論文のタイトルは、一部、学生・研究員の活動のページで閲覧することができます。

2018年6月に山川出版社より佐藤昇編、神戸大学文学部史学講座著『歴史の見方、考え方 大学で学ぶ『考える歴史』』が刊行されました。 神戸大学文学部に所属する史学の先生方で協力して執筆したものです。日本史、東洋史、西洋史の具体的な事例をもとに、歴史学で学ぶ「考え方」について深めていく内容になっていますので、大学で学ぶ、追究する歴史学について具体的に知りたい方はこちらを手にとってみてください。
2023年10月に山川出版社より佐藤昇編、神戸大学文学部史学講座著『歴史の見方、考え方2 史料から広がる歴史学』が刊行されました。 こちらは「史料」というものに即して、そこからどのように考えて、歴史学を進めていくのかをご紹介した本になります。

学生生活、進路
学部生の共同研究室は、文学部A棟3階310室になります。ここで学部生は、お弁当やお菓子、お茶などを広げながら、友人同士の話に花を咲かせたりしています。またときに勉強会を開いたり、それぞれの読書、研究、試験勉強などもおこなって、互いに切磋琢磨してもいます。
その他、当専修は、院生も含めた学生間の交流が盛んで、新入生歓迎コンパや送別会、クリスマスパーティなど、折に触れて親睦会なども開かれています。
また、語学の習得を目指して、あるいは幅広い歴史学の知識、視野を身につけるため、各種の自主勉強会、院生による読書会などがおこなわれています。
卒業後は、中学校社会科、高等学校世界史の教員、公務員、大学職員をはじめとして、各種の一般企業(近年では、例えば、りそな銀行、阪急旅行社、富士通、三井住友海上、パソナ、JR東日本など)に就職する学生も多く、 さらに例年、数名程度が大学院に進学して、さらに研究を深めていきます。
*学生体験談はこちらをご覧下さい。


中世のボローニャ大学の講義風景(Wikipediaより)

人文学研究科博士課程について

大学院生は博士前期課程と同後期課程に分かれており、主に前者を対象とした講義形式の「特殊研究」、そして史料読解や口頭報告を中心とした「演習」が開講されています。 前期課程は修士論文、後期課程は博士論文の作成が目標となります。自ら研究書の読書、史料の収集、分析を重ねるとともに、指導教員から定期的に論文指導を受け、最終的な完成を目指します。「演習」では、各自の研究について途中経過を報告し、教員や院生と意見交換を行います。分野を超えた意見を取り入れることで、視野の広い研究を目指します。近年の修士論文・博士論文のタイトルは、学生・研究員の活動のページでご覧下さい。
在学中は、本専修に於いて研鑽を積むのはもちろん、前期課程、後期課程いずれの学生も、様々な機会を捉えて、(1)学会などで報告を行い、(2)長期、短期の海外留学を経験し、研究の深化、国際的な研究者ネットワークの構築を図っています。とりわけ神戸大学ではさまざまな留学支援プログラムを実施しており、これまで多くの大学院生たちが、国際的アカデミアの世界に足を踏み入れるきっかけを手にしています(神戸大学の留学支援についてはこちらをご覧下さい)。また、大学院生が参加する国際ワークショップなども開催し、世界的な視野で学会活動を行う支援も行っています(海港都市研究センターの国際学術シンポジウムについては、こちらをご覧下さい)。
博士前期課程修了者は、博士後期課程に進学する他、専修免許を得て中学校社会科、高等学校世界史の教員となるものが多く、他にも国家公務員、地方公務員、大学職員、各種の一般企業に就職しており、 博士後期課程在籍者は、研究職への途を目指しています。
*学生体験談、留学体験談は、こちらからご覧下さい。


Carl Spitzweg,  Der Bücherwurm(本の虫)(Wikipediaより)

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