学生体験談

このページでは、近年在学していた学部卒業生、大学院修了者の体験談を掲載しています。
それぞれ、特別断りのない限り、神戸大学卒業、大学院修了・満期退学時に執筆していただいています。

学部卒業生体験談

須々木理惠さん、2016年度文学部卒業
(鉄道旅客会社勤務)

私は「20世紀ドイツにおけるホロコーストの実態」についてより深く探求したいとの思いから、3年次編入学生として神戸大学文学部西洋史学専修に入りました。編入生という立場上、西洋史以外の授業も数多く履修しなければならなかったので、西洋史の専門の授業と並行して、それらの単位修得の為、毎日何かしらの勉強に明け暮れる日々を送っていました。西洋史学専修ではその名の通り外国の歴史を扱うため、2年次から「西洋史演習」という授業を通じて外国語文献を読み進めていく機会があります。私は以前の大学で外国語文献に触れる機会が一切なかったため、はじめのうちは全く太刀打ち出来ず何度も悔しい思いをしました。英語やドイツ語など、どの外国語を扱うにせよ、日本語には存在しない独自の文章構造や表現を一から訳していくことは根気のいる作業でした。しかし先生方の手厚い指導をはじめ、学部生の仲間や院生の先輩方の力添えにより、徐々に自分で文章を読み進めていけるようになりました。
西洋史学専修で身に付けた力は、学業面にとどまらず、就職活動においても十分に活かすことができました。確かに西洋史学専修で学んだ専門知識をそのまま応用できる職業は、数が限られているのが実情です。しかし研究内容を発表したり、外国語の文章を翻訳する際に求められる、読み手にとって理解しやすい言葉を用いて表現する方法や、聞き手にとって分かりやすい話の伝え方といったスキルは、就職活動時のエントリーシートの作成や面接の場で非常に役に立ったと感じています。さらに2年間の学びの集大成である卒業論文に取り組む際にも幾度となく大きな壁にぶつかりながら、これまでに身につけた知識と考え方を基に「第二次世界大戦期におけるドイツ・オーストリア系の亡命ユダヤ人」をテーマとして最後まで諦めずに執筆することができました。2年間という短い期間でしたが、西洋史学専修で過ごした時間は、私にとって密度の濃い充実したものであったと強く実感しています。

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渡辺大夢君、2013年度文学部卒業
(旅行会社勤務)

◎学生生活
私は西洋史専修で、19世紀イギリスの鉄道企業における福利厚生政策について研究をしていました。本専修にイギリス史専門の先生はおられませんでしたが、日頃、院生の方々から親切な指導を、ゼミでは先生方から研究手法について的確なアドバイスを、それぞれいただくことが出来ました。また、最近は他大学と合同ゼミを開催するなど連携活動も積極的に行っており、私の場合、イギリス史の先生に実際に発表を見ていただく機会もありました。地域、時代を問わず研究を進められる環境が整っていると思います。
研究以外の西洋史専修についてですが、定期的に新歓、BBQ、追いコンなどといった会合も開かれます。読書室は、学生にとっては課題研究を進める場でもあり、また時には憩いの場にもなりました。上下関係なく仲も良く居心地も良かったので、そこで過ごす毎日はとても充実していた印象があります。
◎就職
教職員免許を取って教師を目指す人、公務員を志す人も多いですが、私は免許を取らずに、最終的にはとある旅行会社に就職することが出来ました。歴史学という学問の性質上、研究に関連した職業というのはなかなか多くはありません。しかし、就職に直接繋がらないようなことを学んで来たことが、就職活動において不利に働いたと実感することはありません。多くの先輩方も一般企業に就職を決めてきたので、卒業後の進路に関しては不安を持ちすぎずに過ごしていただければと思います。とにかく大事なのは、学問、サークル活動、アルバイトなど、何でも構わないので、何に打ち込んで4年間の大学生活を充実させてきたか、ということです。

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勝浦(旧姓中村)華子さん、2009年度文学部卒業(2014年執筆)
(高等学校教員)

「南北アメリカ大陸における奴隷制度について勉強したい!」高校生2年生の時、世界史の史料集の扉絵に描いてあった奴隷船に私は強い関心を持ち、神戸大学文学部西洋史専修に進むことを決めました。西洋史専修の授業は本当に多様なテーマを取り扱っており、私は今でも授業風景を鮮明に思い出すことができます。例えば、カエサルの人生や、世界の捕虜兵、ヴェネツィアの奴隷救出について学んだり、アウクスブルクの和議に関する仏語論文をみんなで読み進めたり、時にはチェコ語に触れたりと、非常に多くの知識を、先生方や先輩、そして同期の仲間から得ることができました。
 私は西洋史特殊講義のレポートがきっかけで、「18、19世紀におけるジャマイカの女奴隷」を卒業論文のテーマとしましたが、関連する書物が少ないこともあり、何度も壁にぶつかりました。それでも私が最後まで研究することができたのは、指導教官の先生をはじめ、多くの先生や先輩からいただいたアドバイス、そして何より、同じように立ち止まり、悩みながらも、研究を続ける仲間たちのおかげでした。卒業論文を出し終えた後、みんなでジャマイカ料理を食べに行ったことは、最高の思い出です。
 私は現在、高校教員として世界史に携わっていますが、在学中は一般企業に就職することも視野に入れていました。希望する会社から内定を頂きましたが、それでも教員になることを選択したのは、やはり、西洋史専修で学んだことを活かし、一人でも多くの高校生に、世界史の魅力を伝えたいと思ったからです。私には6人の同期がいましたが、同じように教員の道を選んだ人も、大学院に進んだ人も、一般企業に就職した人もいます。研究も就職活動も、お互いに切磋琢磨することで、自分の道を切り開くことができました。そして今でも、私の中には、講義を受けていた時のワクワクした気持ちが残っています。同じようなワクワクを、生徒たちに感じてもらうこと、それが今の私の目標です。

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大学院修了者体験談

佐藤瑞恵さん、2014年度文学部卒業、2016年度博士前期課程修了
(公務員)

 私は、中世イタリア都市ジェノヴァと北アフリカとの交易について、学部・修士課程を通じて研究していました。大学院への進学を決めたのは、大学3年次の後期のことです。当時、苦手な語学と格闘しながらも、読みたい文献や知りたいことが増えていき、「もっと外国語の読解力をつけて専門的な勉強がしたい、自分の勉強のみに時間を割けるのはおそらく今しかないだろう」と考えて進学を決めました。
進学組とは言え、卒業論文では構成や表現に苦しみ、提出後には研究の意欲をなくしかけた時期もありました。しかし、2年という限られた修士の時間、そう立ち止まってばかりもいられません。学部生の時以上にハイスピードなラテン語・イタリア語の演習、活発なゼミでの議論、そうした毎日に必死でついていくうちに、何とか気持ちを立て直し、修士論文の方向性を考え始めることができました。また、大学院の先輩や同期たちから学ぶところも多く、各々が研究する多様な時代・地域の考え方に新鮮さを感じるとともに、そこから研究のヒントを得ることもありました。
他方で、私の場合、修士課程で学んだ後は就職するつもりでいたため、就職活動も同時に行う必要がありました。公務員試験の勉強は開始から内定まで大変な長丁場で、研究との両立は大変でしたが、折に触れて先生方が気遣って下さり、内定を得ることができました。漸く本格的に研究に戻ることができた訳ですが、修士論文提出の時期も着実に近づいており、文字通り1日も無駄にできない日々のなか、同期や学部の後輩たちと励まし合いながら修士論文を書き上げました。
現在は外国の方と関わる職に就こうとしています。こうした進路は、学部生の時では思い浮かばなかったものであり、西洋史を研究する中で外国語に触れ続けたことがきっかけのひとつとなりました。修士課程の2年間で学んだ多様な物事の捉え方は、慌ただしくも充実した2年間を過ごしたからこそ得ることができたものだと思います。

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楠野優子さん、2014年度文学部卒業、2016年度博士前期課程修了
(公務員)

 中学生の頃、偶然見ていたテレビの旅行番組でフィレンツェという街を知りました。ヴァーミリオン(朱色)の屋根が連なる中から、ドゥオーモの大クーポラ(ドーム)や鐘楼、ヴェッキオ宮の塔がそびえ立っています。この街はどのようにして作られたのだろうか、という疑問から神戸大学文学部・西洋史学専修に入り、大聖堂の建設委員会「オペラ・デル・ドゥオーモ」をテーマに卒業論文を書きました。そして、せっかくここまで勉強したのだから当時の人々が書き残した生の史料にあたってみたいと思い、神戸大学大学院の博士前期課程に進学することにしました。
 大学院での2年は、あっという間でした。ラテン語・イタリア語講読の予習を行い、古代ローマ史や現代イギリス史の講義を受け、学生たちによる史学概論の読書会に出席し、自分の研究に関する外国語文献を読み進めながら、また来週のラテン語講読の予習といった具合です。もちろん、念願のオペラ・デル・ドゥオーモ史料とも格闘しました。最初は全く歯が立ちませんでしたが、指導教官の先生や同じ中世史の院生から助力をいただき、何とか意味が取れるようになりました。約600年前のフィレンツェで書かれたラテン語の文章を解読できた時の感動は、何とも言葉にしがたいものです。夜20時の院生研究室、自分の机で辞書を開きながら、研究しているなあ、としみじみ思いました。また、このような研究の傍らで、公務員試験の勉強を並行したことも強く印象に残っています。試験間近の数か月間は研究が手につかないこともありましたが、先生方や先輩方のご配慮のおかげで、無事に内定をいただくことができ、修士論文も拙いなりに書き上げることができました。
 西洋史学専修の学生は様々な時代・地域・テーマの研究をしていますが、進路も実に多彩です。自分で必死に考え行動することは前提ですが、助けを求めれば誰かが応えてくれる、そんな研究室で過ごした6年間は私の素敵な思い出です。

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衣笠太朗君 2013年度博士前期課程修了
(ドイツ・ポーランド(上シレジア)史、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程へ進学)

 私は、神戸大学大学院の西洋史専修(博士前期課程)での学生生活を通じて、研究者を目指す上での「芯」を培いました。出発点とか、土台とか言い換えてもいいかもしれません。とにかく、今後の人生、特に研究人生を送っていく上で、かけがえのない日々を体験し、それを自らのものとすることができました。
 「芯」を形作っていくうえで最も影響を受けたのは、やはり先生方との日々のコミュニケーションや議論です。本大学院西洋史専修には古代から近現代まで4人の先生が在籍しており、所属学生は指導教官の先生はもちろんのこと、そのほかの先生方とも親密な信頼関係を築いていくことになります。私自身、主に指導教官の先生に様々なアドヴァイスを頂きながら研究を進めていきましたが、修論執筆や進学の際には、それ以外の先生にも親身に相談に乗っていただきました。
 所属学生は、基本的に週に2度のゼミに出席することになりますが、そこでは各人が自らの研究報告を行い、そして学界の第一線で活躍される先生方から、学生ごとの状況に応じた的確な指導を受けることができるのです。例えば、私は上シレジアという聞きなれない地域の歴史を専門としていますが、専門の離れた先生方からも、それぞれの強みを生かした指摘をいただくことができました。修士課程修了後、私はご縁に恵まれ、外部の難関大学院に進学することができましたが、それは私自身の成果というより、そうした先生方からの指導の賜物であると考えています。
 また、同じ専修の友人・後輩・先輩方と毎日勉強し、遊び、互いに刺激し合ったことも、私の「芯」が彫琢されていく過程において、欠かすことができない点でしょう。私には4人の同期生がおり、さらに後輩や先輩の院生も数多く在籍していました。本専修の院生・学部生同士の結びつきは強く、年間を通して新入生歓迎会、バーベキュー、追いコンなど様々な行事が催されています。勉学面では、自主的な勉強会が同時並行的に開催されており、私はそこで先輩方から数えきれないほどの知識や考え方を得ることができました。そのほか、研究に行き詰ったときも、彼らと喋ったり、ふざけ合ったりして(たくさん迷惑もかけましたが(笑))気晴らしを見出すことができ、それによって新たな研究の視角を思いつく余裕が生まれるなど、勉学一本槍にならない点も本専修のポジティヴな側面でしょう。
 研究職を志す私にとって、研究・指導・人間関係といった様々な面において研究者・社会人としての「芯」を築けたこの2年間は大変有意義なものであったと感じています。

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雪村加世子さん
2004年度文学部卒業 2007年度文学研究科博士前期課程修了 2013年度人文学研究科博士課程後期課程退学
(近世アイルランド史、PhD(トリニティ・カレッジ・ダブリン)、2014年〜2015年:神戸大学大学院人文学研究科 助手、助教、2016年〜:学振特別研究員PD)

 世界史好きの普通の高校生であった私が研究の道を志したのは、学部2年生の時にイギリス史のゼミを選択し、歴史学という学問の面白さに目覚めてしまったことが始まりでした。学部卒業後は、大学院修士課程、博士後期課程に進み、さらに奨学金(ロータリー国際親善奨学金・アイルランド政府奨学金)を得て留学し、アイルランドの大学でPhDの学位を取得しました。現在は母校で助手として働いています。
私は卒業論文を書くために読んだ回想録がきっかけで、17~18世紀のアイルランドに興味を持ちました。修士課程・博士後期課程では研究テーマを絞り込み、深めることに没頭しましたが、その過程で重要だったのは週2~3回の大学院ゼミと、院生・学部生入り混じっての自主勉強会でした。講読ゼミでは、西洋史研究に必須の語学力を伸ばすために、様々な文献を読みました。また、全体ゼミでは幅広い時代・地域の研究報告を聞いてコメントすることが求められ、自分の視野を広げ、思考力を鍛えることができました。専修の先生方は、どれほど拙い発表にも耳を傾けてくださり、時に厳しく、しかし常に温かくご指導くださいました。真っ赤になるまで添削された当時の原稿を見るたびに、生徒に真摯に向かい合う指導者としての心構えを実感させられます。自主勉強会では、学部生の卒論指導をしたり、他専攻の学生も交えて古典的研究を読む会を開催したりしました。他大学の勉強会にも積極的に参加し、若手研究者の人々と切磋琢磨することで、研究者として成長することができました。
研究者の人生は決して楽なものではなく、新しいものを生み出そうとする中で苦しむこともあります。しかし自分だけのテーマで、自らの手で根気よく組み立てて、一つの博士論文を書き上げたことは、私に揺るぎない自信を与えてくれました。困難な道を途中で挫折せずに進み続けられたのは、大学院での地道な努力が支えてくれたからであり、研究科の人々からの惜しみない助力のお陰であると言えます。
*雪村さんの業績については、こちらをご覧下さい。

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