2014年以前の活動

科学研究費補助金基盤研究(S)「大規模自然災害時の史料保全論を基礎とした地域歴史資料学の構築」
課題番号:21222002 研究代表者:奥村 弘 研究期間:平成21年度-25年度

 現在、地域社会の急激な構造転換の中で、日本の地域社会で維持されてきた膨大な地域歴史資料は滅失の危機にある。 さらに活動期を迎えた地震による災害、地球温暖化に関連する大規模風水害の続発は、この事態を早めることになった。 この事態に対し、既存の指定文化財を基本とした歴史資料保存や、地域住民による保全に依拠するのみでは、 地域歴史資料の保全が不可能であることが明確になった。この危機的状況を放置するならば、地域社会の歴史を明らかにし、 歴史研究を発展させることは著しく困難となる。

 そこで本研究では、地域歴史資料を巡る問題が集約的に問われた被災各地で、その保全に当たった歴史研究者を中心に、 各地域での歴史資料の現状を現地での再調査や関係者等との共同討議等から把握し、データとして相互に共有する。 これを基礎に、これまでの歴史資料学の研究蓄積や国際的な歴史資料学の成果を利用し、 さらに歴史学に隣接する文化財保存科学、建築史等の協力も得て、 各地で生まれた歴史資料保全論や萌芽的な地域歴史資料学について比較検討を行い、 その中から、地域歴史資料を次世代に引き継ぎ、地域住民の歴史認識を豊かにしうる地域歴史資料学を構築することをめざしている。

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