古代ギリシア文化研究所
〜The Association for Researchers of the Ancient Greek Civilization〜

ご挨拶

古代ギリシア文化研究所は、日本における古代ギリシア史研究の深化と発展を目指し、古代ギリシアを研究対象とする人たちのために、2014年4月に発足しました。 当面は、年次総会を秋に開催し、そこで研究発表や新刊紹介などの情報交換を行い、会員同士の交流を図ります。 また同時に、古代ギリシア研究の学術的成果を日本社会に広く還元していくことも目指しています。  
ただし、研究所はそれにとどまらず、さらに先を目指しています。 古代ギリシア史研究は、かつては主流であった文献史料のみならず碑文(金石文)史料はもちろんのこと、考古資料など、多種多様な史料を用いた研究方法が当然となっているうえに、フィールドワークも不可欠となっています。 古代ギリシア人の活動範囲は、バルカン半島南部とエーゲ海周辺地域ばかりでなく、地中海沿岸全域や黒海沿岸にまで及んでいたので、これらの全範囲がフィールドワークの対象となります。そのような研究の現状を考えれば、古代ギリシア史研究を進める上で最も好都合の場所はアテネであるといえるでしょう。
もちろん西ヨーロッパ、北米の国々の諸大学、諸研究機関においては、長い研究史を誇るところも少なくないばかりでなく、最先端の研究で世界を牽引している研究者も多くはこれらの国々から出ています。彼らの多くは自国にとどまっているのではなく、基礎的なフィールドワークを実践するためにアテネに来ますが、アテネにはこられの国々の研究機関が設置されています。研究者たちは短期であれ長期であれ、そこを拠点に研究に従事しますので、おのずからそこに国際的な研究交流の場が成立しています。残念ながら日本の関連施設はまだありません。
古代ギリシア・ローマ史を含む古典学の研究を牽引している他の国々と比べて、日本の古代ギリシア史研究の本格的始動はいささか遅く、1950年代からでしたが、すでに半世紀を超える学問の伝統の延長上で、いまや優れた研究者が次々に現れてきています。このような研究者たちが多様な史料や研究方法を駆使して研究を進める場所として最適なのは、上にも述べたように、世界各地から研究者たちが集まってくるアテネをおいて他にありません。日本の研究者たちのために、彼らが遠慮なく使用できる研究拠点の実現を図ることをも、この古代ギリシア文化研究所は目指しています。

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