雑誌『上海』『上海週報』概要

『青島官報』(Amtsblatt fur das Deutsche Kiautschou Gebiet )について

雑誌『上海』は、1913年から1945年まで、上海で発行された日本語雑誌である。1928年から1933年の時期は『上海週報』と誌名が変更された。
戦前の中国では日本人居留民により、多くの日本語新聞、雑誌が刊行されており、それらは日本人居留民社会の中国観を示す資料として有用である。『上海』の経営を支えた広告料収入の多くは現地の日本企業や商店から賄われており、紙面上の広告からは当時の上海日本居留民社会の様子を窺う事が出来るだろう。
他の特徴として、『上海』は当時の中国語新聞の記事を多く翻訳、転載している。こうした記事の原文は今では見ることが難しい。当時の中国国内の言説を知る上でも、『上海』は重要な手掛かりを提供してくれる。
また『上海』の論調からは、中国進出をめぐる列強間の競争が激しかった時代を背景に、日本以外の列強諸国が、経済面や文化面、政治面で中国へのさらなる進出を図る事への警戒心が垣間見える。中国をめぐる列強諸国の国際関係を知る上でも『上海』は貴重な資料である。一方で『上海』は中国社会に対しては、中国の軍閥間の争いに失望し、辛亥革命以前の王朝統治に理想を求める復古的な論調を打ち出していた。『上海』のこうした論調の背景には、雑誌の主催者であった西本省三が、日本のアジア主義団体「東亜同文会」と密接な関係を持っていた事がある。
残念ながら、戦前の中国で刊行された日本語新聞、雑誌の多くは散逸している。その中で、『上海』は長期間に渡り発行された巻号の多くが現存し、特に神戸大学社会科学系図書館と、同学海港都市研究センター所蔵のコレクションは最もまとまっている。
神戸大学所蔵の巻号は以下の通り。
《海港都市研究センター》
 『上海』(上海:春申社)   1-82(1913-1914) 《社会科学系図書館》
 『上海』(上海:春申社)
  354-616,618-780(1919-1928)
 『上海週報』(上海:上海週報社)
  851-897(1930-1933)
 『上海』(上海:上海雑誌社)   898-953(1933-1935)

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