若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)組織的な若手研究者等海外派遣プログラム国際シンポジウム「東アジアの共生社会実現に向けた新しい東アジア研究」

国際シンポジウム「東アジアの共生社会実現に向けた新しい東アジア研究」参加記


シンポ会場のソウル大学校国際大学院

1月10日我々が到着したソウルは、寒波の影響で街中に雪が降り積もり、ソウルに滞在した3日間にも新たに雪が降っていた。聞けば、今冬の降雪は記録的な量だという。神戸からやって来た者からすれば、ソウルはまさに極寒であった。それだけに、ホテルの部屋に完備されたオンドル(床下暖房)は非常に有難かった。

2013年1月10日から12日まで、ソウル大学校国際大学院にて「東アジアの共生社会実現に向けた新しい東アジア研究」と題した国際シンポジウムを開催した。このシンポジウムは表題が示す通り、東アジア研究の未来を討論する場であると同時に、神戸大学人文学研究科と国際協力研究科が実施してきた「若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラム(ITP)」と、人文学研究科が実施してきた「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」の成果を示す場でもあり、両プログラムの派遣生11名(報告予定者1名が当日欠席)が自らの研究報告を行った。そのほか、神戸大学の教職員20名も本シンポジウムに出席し、ソウル大学校からは司会者、報告者、会場スタッフを含めて20名ほどの参加者を得た。

一日目の1月10日には、「組織的な若手研究者等海外派遣プログラム」の派遣生6名が研究報告を行い、それを受けてソウル大学校の院生3名がコメントをした。報告者が専門とする分野はさまざまであったが、それぞれが海外派遣を通じて得た知見を加えた興味深い研究を披露した。これらの研究報告に対して、コメンテーターから意見や疑問点が提示され、会を締めくくる総合討論でも日韓双方から活発な議論が交わされた。また、これと同時間帯に「ソウル大学校・神戸大学教員による対話集会」が開かれ、そこでは日本や韓国における研究教育の現状が報告され、今後の発展に向けた意見交換がなされた。

若手東アジア研究者の対話集会

若手東アジア研究者の対話集会

ソウル大学校・神戸大学教員による対話集会

懇親会

二日目(1月11日)のシンポジウムは「ITP総括国際シンポジウム」として、英語による報告や討論が行われた。午前の部では、ソウル大学校国際協力本部長鄭鍾昊氏と神戸大学副学長中村千春氏が演壇に立ち、さらにソウル大学校日本研究所長朴喆熙氏と神戸大学教授木村幹氏が基調学術講演を行った。午後の部では2つのセッションが設けられ、ITP派遣生を中心とした5名とソウル大学校院生2名の研究報告がなされた。第一部会「韓半島と韓国社会」では、韓国社会の様相にそれぞれの切り口で深く切り込んだ研究報告がなされ、第二部会「グローバル社会における文化交流」では、各報告者より多文化間における幅広い文化交流の姿が報告された。最後の討論では、ソウル大学校教授権粛仁氏と神戸大学教授油井清光氏が二日目の議論全体を総括し、報告者やフロアからも意見が出された。

東アジア共生社会実現に向けた教育と研究

東アジア共生社会実現に向けた教育と研究

第2部会「グローバル社会における文化交流

総括

最終日の1月12日は学術見学会として、ソウル大学校内にある奎章閣と博物館の見学に時間があてられた。奎章閣は李氏朝鮮時代に建てられた文書保管所であり、全国の記録文書が集められた場所であったそうである。現在では移転され、ソウル大学校によって管理されている。奎章閣には数多くの貴重な史料が保管されており、その一部が公開されている。見学会の参加者は解説に耳を傾けつつ、貴重な展示品を間近に見て回ることができた。

奎章閣

奎章閣の見学

今回のシンポジウムは、ソウル大学校国際大学院ならびに日本研究所の関係各位のご尽力によって開催することができた。最後に改めて謝意を表したい。またこれを機に、両校の交流がより深まることを祈念する。


シンポジウム参加者

(文責:石井大輔)

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