活動内容

2008年 神戸大学大学院人文学研究科海港都市研究センターによる「資料収集・研究交流会」参加報告書


■曹善玉(ソウ・ゼンギョク)

曹善玉写真
  • 所属:中山大学・歴史系(博士課程)
  • 研究テーマ:東北アジアの朝鮮(韓国)人・在日朝鮮(韓国)人についての研究
  • 資料収集の主眼点:戦後東北アジアの朝鮮(韓国)人の移民活動・在日朝鮮(韓国)人

1、はじめに

 2008年3月3日から7日にかけて、私は幸いにも神戸大学文学部海港都市研究センターの「資料収集・研究交流会」に参加し、論文に関連する資料を収集することができました。スケジュールがややタイトではありましたが、神戸大学の先生方・研究員・学生の方々から頂戴した御支援・御協力のおかげで、つつがなく収集活動を終えることができました。神戸大学附属図書館での収集資料のみならず、神戸市立中央図書館青丘文庫で収集した関連資料は、私にとって益するところが小さくありません。 資料収集は主に二つの方面にわたります。

2、資料収集


(1)戦後東北アジアの朝鮮(韓国)人の移民活動に関する資料

 現在中国にはおよそ190万人の朝鮮族が居住しています。彼等の父母や祖先の大部分は19世紀末から20世紀初めに朝鮮半島から移り住んできました。それらの移民の子孫である彼等は、新たな環境のもと新たな移民活動を開始しています。特に1992年の中韓国交樹立は中国の対外開放をより一歩進め、生産の国際化と経済のグローバル化が促進されるなか、一世紀にわたり中国に定住した朝鮮人を次々と韓国や日本に流入させつつあります。国内の動向という点で見ると、もとは中国東北部の農村に居住していた朝鮮族が次第に上海・北京・青島等の大都市あるいは沿海の都市に移り住むようになりました。彼等の移動の原因、および移住先の経済・社会・アイデンティティなどに関連する研究としては、佐佐木衛編『越境する移動とコミュニティの再構築』、鶴嶋雪嶺『中国朝鮮族の研究』、および金明姫『グローバルに伴うエスニシティの変容―中国朝鮮族の移動と生活』(神戸大学大学院総合人間科学研究科博士論文)、金永基『クロスボーダー移動と地域社会の再構築:中国朝鮮族の移住・適応・エスニック・アイデンティティの再形成』等があります。

(2)在日朝鮮(韓国)人に関連する資料

 日本の学術研究の分野では、在日朝鮮(韓国)人に関わる大きな研究成果が累累と蓄積されています。例えば、姜在彦・金東勲『在日韓国・朝鮮人の歴史と展望』、森田芳夫『数字が語る在日韓国・朝鮮人の歴史』、河明生『韓人日本移民社会経済史』等は主に在日朝鮮(韓国)人の歴史発展の過程について検討を加えています。在日朝鮮(韓国)人は1910年代、日韓併合の後、大量に日本に移住してきたものです。彼等の政治や経済、生活文化は注目されるところです。関連する研究としては、大沼保昭・徐龍達編『在日韓国・朝鮮人と人権 日本人と定住外国人との共生を目指して』、仲原良二『在日韓国・朝鮮人の就職差別と国籍条項』、庄谷怜子・中山徹『高齢在日韓国・朝鮮人:大阪における「在日」の生活構造と高齢福祉の課題』等が挙げられます。 サハリンの朝鮮(韓国)人に関わる一連の資料を収集できたことも、ここで掲出するのに値します。例えば、朴亨柱『サハリンからのレポート―棄てられた朝鮮人の歴史と証言』、新井佐和子『サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか』等がそれです。中国国内ではサハリンの朝鮮(韓国)人の研究はきわめて少ないので、これらの資料は今後の私の研究にとってとても重要な情報を提供してくれるものと思います。

3、おわりに


 私の論文は、戦後の東北アジアにおける、国境をまたいだ朝鮮(韓国)人のネットワークを主たる研究対象としています。そのネットワークは血縁、地縁、あるいは仕事の縁などを主要な紐帯として移民社会の中に形成されます。中国国内外における華僑華人のネットワークに関する研究成果と比べると、学術研究の分野で朝鮮(韓国)人のネットワークに関する研究は稀少です。今回、神戸大学の資料收集・研究交流会を通じて、日本の学術界ではすでに朝鮮(韓国)人のネットワークの研究がかなり進められていることを知ることができました。それらの研究成果は私が研究を展開させていく基礎の一つとなると思います。さらに今回は、韓国人研究者による関連研究も収集できました。例えば玄圭煥『韓国国流移民史』(上・下)、高承済『韓国移民史研究』等がそれです。これらの資料も中国国内では収集がきわめて困難であり、特に貴重です。今回の神戸での滞在は、時間こそ長くはありませんでしたが、資料収集計画が完遂できたばかりか、異国風情を初めて味わうこともできました。その意味で、私にとっては非常に有意義な旅でありました。 最後に今回の交流会で私を援助してくださった諸先生方および学生のみなさまに心から御礼を申し上げます。


調査・収集資料(年代順)

  1. 朝鮮総督府編『朝鮮部落調査報告』(第一冊)火田民来住支那人、1924年
  2. ?世昌『在満韓人的抗日独立運動史研究??以1910-1920年的独立運動団体為中心』、1988年
  3. 木村健一『在朝日本人の社会史』、東京:未来社、1989年
  4. 姜在彦・金東勲『在日韓国?朝鮮人 歴史と展望』、東京:労働経済社、1989年
  5. 朴亨柱『サハリンからのレポート??棄てられた朝鮮人の歴史と証言』、東京:御茶の水書房、1990年
  6. 岡部牧夫編『満州移民関係資料集成 解説』、東京:不二出版、1990年
  7. 洪相杓『間島独立運動小史』、京畿道平?邑?光中高等学校、非売品、1991年
  8. 仲原良二『在日韓国?朝鮮人の就職差別と国籍条項』、東京:明石書店、1993年
  9. 姜在彦『満州の朝鮮人パルチザン??1930年代の東満・南満を中心として』、東京:青木書店、1993年
  10. 服部民夫『韓国 ネットワークと政治文化』、東京大学出版会、1992年
  11. 福岡安則『在日韓国?朝鮮人 若い世代のアイデンティティ』、東京:中公新書、1993年
  12. 金文経・金成勳・金井昊編『張保?海洋経営史研究』、首尓:李鎮図書出版、1993年
  13. 梁永厚『戦後?大阪の朝鮮人運動1945?1965』、東京:未来社、1994年
  14. 金正根・園田恭一・辛基秀編『在日韓国・朝鮮人の健康・生活・意識―人口集団の生態と動態をめぐって』、東京:明石書店、1995年
  15. 朝鮮研究会編『朝鮮史からみた一八九四年』、東京:朝鮮史研究会編集発行、1995年
  16. 森田芳夫『数字が語る在日韓国?朝鮮人の歴史』、東京:明石書店、1996年
  17. 高崎宗司『中国族??歴史?生活?文化?民族教育』、東京:明石書店、1996年
  18. 鶴嶋雪嶺『中国朝鮮族の研究』、大阪:関西大学出版部、1997年
  19. 平井広一『日本植民地財政史研究』、京都:ミネルヴァ書房、1997年
  20. 庄谷怜子・中山徹『高齢在日韓国・朝鮮人:大阪における「在日」の生活構造と高齢福祉の課題』東京:御茶の水書房、1997年
  21. 河明生『韓人日本移民社会経済史』(戦前篇)、東京:明石書店、1997年
  22. 新井佐和子『サハリンの韓国人はなぜ帰れなかったのか』、東京:草思社、1998年
  23. 神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会編『神戸港強制連行の記録 朝鮮人・中国人そして連合軍捕虜』、東京:明石書店、2004年
  24. 『東京?新宿発??日韓協力の新しい街づくり(住民?生活次元)の日韓対話』、2005年3月12日
  25. 大沼保昭・徐龍達編『在日韓国・朝鮮人と人権 日本人と定住外国人との共生を目指して』、東京:有斐閣、2005年
  26. マイノリティ研究班『アジアのマイノリティと法Ι』、大阪:関西大学法学研究所、2006年
  27. 金永基『クロスボーダー移動と地域社会の再構築:中国朝鮮族の移住・適応・エスニック・アイデンティティの再形成』、東京:富士ゼロックス小林節太郎記念基金、2006年
  28. 金明姫『グローバルに伴うエスニシティの変容―中国朝鮮族の移動と生活』、神戸大学大学院総合人間科学研究科博士論文、2006年
  29. 佐佐木衛編『越境する移動とコミュニティの再構築』、東京:東方書店、2007年
  30. 国史編纂委員会『海外有関韓国史資料?編Ι』(総目録?日本篇1)(韓国語)
  31. 国史編纂委員会『韓日漁業関係』(韓国語)
  32. 国史編纂委員会『韓日経済関係』(1、2)(韓国語)
  33. 玄圭煥『韓国流移民史』(上、下)(韓国語)
  34. 高承済『韓国移民史研究』(韓国語)
  35. 『世界的韓民族中国』(韓国語)

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