活動内容

2007年 神戸大学文学部海港都市研究センターによる「資料収集・研究交流会」

  2007年2月4日(日)から2月10日(土)にかけて神戸大学文学部海港都市研究センターに海外拠点大学から若手研究者を招聘して「資料収集・研究交流会」を行った。これは、海外拠点大学において海港都市研究(日本、神戸、および東アジア地域)に関心を持ち、研究を発展させようとしている若手研究者を対象として、海港都市関連資料を収集するための補助を行うことを趣旨として行われたものである。昨年に引き続き2度目の実施となる今回は、中国の中山大学、台湾の台湾大学、韓国の木浦大学校・韓国海洋大学校に加えて、中国の代表的な海港都市の一つ、青島に所在する中国海洋大学からも若手研究者を招聘することができた。参加者は次のとおりである。

  • 名前:張伝宇(チョウ・デンウ)
  • 所属:中山大学・歴史系(修士課程)
  • 研究テーマ:近代における日本と東南アジア華僑・華人との関係
  • 資料収集の主眼点:日清戦争後から第二次世界大戦にかけての、東南アジアに居住している華僑・華人に対する日本政府の認識の変遷
  • 名前:趙月超(チョウ・ゲッチョウ)
  • 所属:中国海洋大学・文学院歴史地理学(修士課程)
  • 研究テーマ:海港都市青島研究―教育・宗教を中心に―
  • 資料収集の主眼点:近代青島の宗教・教育に関する資料の収集
  • 名前:陳羿秀(チン・イシュウ)
  • 所属:台湾大学・日本語文学系(修士課程)
  • 研究テーマ:明清時代における日中交流史
  • 資料収集の主眼点:長崎における丸山遊女と唐人の活動に関しての資料収集
  • 名前:金潤煥(キム・ユナン)
  • 所属:韓国海洋大学校・東アジア学科(修士課程)
  • 研究テーマ:海港都市釜山および1945年から1965年までの釜山と日本の関係
  • 資料収集の主眼点:開港以降から1945年までの釜山関連資料および1945年から1965年までの日本と韓国(主に釜山)の関係に関する資料の収集
  • 名前:李京兒(イ・キョンア)
  • 所属:木浦大学校・大学院文化人類学専攻(修士課程)
  • 研究テーマ:社会変化に伴う漁村の適応戦略と漁民たちの 口述生涯史(oral history)の研究
  • 資料収集の主眼点:韓国と日本の漁村社会の比較資料、海洋と海港都市の関連資料

 各若手研究者の調査にあたっては、事前に提出された調査希望資料のリストに基づき、神戸大学附属図書館および近隣の大学図書館、公立図書館で資料収集を行った。また、神戸大学としてその活動を援助するべく、神戸大学の学生である倉菜々(東洋史)・金菊花(西洋史)・前田結城(日本史)・金貞蘭(社会学)・森元まゆみ(東洋史)が各研究者に付き添い、資料収集の円滑化をはかった(神戸大学の学生のレポートはこちら)。
 上記以外にも、2月7日(水)の午前中、各若手研究者が海港都市・神戸の歴史への知見を深めることを目的として、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターおよび神戸市立博物館を参観した。また、同じ7日(水)の午後は、神戸大学瀧川記念学術交流会館に移動し、神戸大学文学部・神戸大学文学部青島研究会・神戸大学文学部海港都市研究センター主催の国際シンポジウム「東アジア海港都市の人文学」に参加した。本シンポジウムは海港都市・青島の位相を多角的な視点から考究することを目指して企画されたもので、張樹楓(青島市社会科学院)・楊来青(青島档案館)の両氏による講演および総合討論が行われた。総合討論にあたっては、台湾・中正大学歴史学系副教授の李若文氏、韓国海洋大学校東ASIA学科教授の柳教烈氏がコメンテーターをつとめ、活発な議論が展開された。
 2月9日(金)には、今回の「資料収集・研究交流会」の成果に関する報告会を行った。その際、本プログラムに参加した若手研究者からは、各国では入手不可能な海港都市関連資料が数多く入手できた点で、また海外の若手研究者同士でお互いに意見を交換できた点できわめて有意義だったという感想が多く聞かれた。また、目録等による事前調査の重要性を改めて感じたという報告、貴重で珍しい資料に接して自らの研究計画を見直すよい機会になったという報告等、実際の資料調査を通じてはじめて得られる経験の意義を特に強調する者もいた。さらには「海外で資料収集を行うということは、その学生個人にとって得がたい人生経験なのであり、その意味でも感謝しています」という大変印象的な感想を述べる参加者もおり、本プログラムのもつ高い教育効果を感じさせた。
海港都市研究センターとしては今後も海外拠点大学と連携して若手研究者の育成をはかっていくとともに、今回の「資料収集・研究交流会」の成果をふまえて、当センターで企画する国際シンポジウムへの参加、あるいは学術誌『海港都市研究』への寄稿を参加者によびかけていく予定である。

(文責:横田隆志)

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