研究の計画 - 近代東アジアにおける知識人の移動
「東アジア」とは、その内部に位置する諸地域にとって均質な内容を表すものではなく、一国史観を越えて討論を始めるにはなお大きな困難を伴う概念である。本研究は、新しく共通の視座としての「東アジア論」を作り上げるために必要な基礎作業として、「東アジア」認識が大きく変容した時代における知識人の移動・越境について再評価・再検討を図るものである。具体的には、中国を中心とする朝貢体制が崩れ、前近代の東アジア秩序が崩壊した十九世紀末から、冷戦体制が敷かれる1950年代までを射程とする。この半世紀を通じて、中国・朝鮮・満州・日本・台湾・沖縄・南洋などの諸地域における知識人の移動と、それに伴う価値観の変容、複数文化の接触、新たな規範意識の誕生などについて、日本以外にも複数の視点を設定し、異なる視点、異なる方法論から「東アジア」像の再構築をめざす。