研究の計画 - 神戸の外国人コミュニティの文化環境
都市神戸には多様な外国人コミュニティが存在するが、「ハイカラ」「モダン」という半ば公定のイメージにもかかわらず、ホスト社会の側の彼らに対する理解は充分とは言い難い。本研究では、
- 昨年度に行った神戸在住の外国人コミュニティの言語文化に関する調査を多方面から一層深化させ、各コミュニティ固有の問題状況について詳細なデータを作成・分析する。
- 特に問題が多いことが予想される外国人子弟の教育環境について、地域のNPOや他学部の教員等と討議を重ね、学校教育の現場等における調査に向けて具体的な社会的提言をまとめる。
以上の現状認識のための作業と共に、過去に遡及する作業として
- 都市神戸および阪神間地域における階層形成の歴史とその文化的系譜、あるいは異なる階層出身者が共存・混交しうるような公共空間形成の系譜について研究・考察する。以上を通じて、神戸における言語・文化的マイノリティとホスト社会の関係をより公正なものとしていくための社会資源(ネットワーク)の構築を目指す。
- ヨーロッパの都市社会を事例として、異なる宗教・宗派間の衝突と融和、外国人コミュニティに関する基礎的研究を行う。(時期としては、ヨーロッパが他地域との関わりの中で社会・経済環境の構造的変化を経験する近世以降を対象とする。)例えば、国民的枠組みをこえる交流の結節点であったリヨンでは、外国人や異宗派といった「他者」によって、人々が取り結ぶ社会的結合関係の変容、政治文化の再編、そして都市に生きる意味の変化が引き起こされていた。異文化接触や宗教的少数派をめぐる現代的関心の高まりに並行して、都市を基点に形成された広域的なコミュニケーションの解明をめざし、比較史的に考察する。