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社会文化 地理学専修

地理学とは

 場所や地域、環境という空間的な視点は、時間的な視点と同様、人間の思考の座標軸を形成してきた。それゆえ地理学は永い歴史を有し、分野としての成立は古代にまで遡るが、近代地理学の形成は17世紀以後であり、哲学者カントや博物・地理学者フォン・フンボルトらも地理学の発展に貢献してきた。20世紀後半はイギリス、アメリカがそれらドイツ地理学を継承、発展させ、1960年代以降は計量地理学、人文主義的地理学、社会地理学などの新しい潮流が誕生している。

 現代はコンピューター利用による空間分析や地理情報システムが社会的にも認知され、また絵図、文学作品、風景画などを対象にした自由な地理的思考の世界が広がっている。さらに哲学、社会学、心理学などでも空間、地図などの概念や表現が論議され、地理学の可能性は拡大している。本専修は1994年の創設ではあるが、地図史、歴史地理学、文化地理学を中心に、教育研究で顕著な業績を挙げており、また多彩な人材を育成しつつある。


授業では

 講義では、専任教官による「地理学概論」、「西洋地図史」、「歴史地理学」、「地域環境学」、「文化地理学」などのほか、非常勤講師により「GIS(地理情報システム)」、「自然地理学」、「地誌」など、多彩な科目が開講されている。また3回生前期からは専修学生のみによる少人数(5人前後)の演習が必修となり、1人年4回の発表で鍛えられていく。発表1週間前には要旨を配布する義務があり、また仲間の発表に対しても活発な発言が求められる。演習の集大成である卒論のテーマは、学生の意志が尊重されるが、まずフィールドや史資料に没入し、その上でオリジナルな視点を追究することが卒論の最終目標である。

 また2回生の必修である実習は、夏季の現地調査を頂点に展開され、この数年は富山、沖縄、山形、熊本などで、各自がそれぞれのテーマを設定して調査を行なっている。


教員の紹介

長谷川 孝治 教授 ヨーロッパ地図史。とくに近世イギリス、オランダにおける地図の社会文化史的研究。東アジアにおける近代都市図の比較研究にも領域を広げつつある。 教員紹介 [KUID]
大城 直樹 准教授 文化・社会地理学。とくに琉球列島およびその近隣地域を対象とする地理的表象や地域意識、景観イメージなどの研究。 教員紹介 [KUID]
他に、文化財学担当の藤田裕嗣教授(教員紹介 [KUID])が、中世における流通システム、および前近代絵図の解読を中心とする歴史地理学を研究している。

  

最近の卒業論文から

「福祉サービスの利用と地域的公正―岐阜県鳥羽市を事例に―」「東京の都心部周辺における密集市街地の形成と変遷―港区六本木地区を事例として―」「近代における清酒流通の展開―灘五郷を中心に―」「農村景観の持続的発展―棚田オーナー制度を事例に―」


卒業後は

 2004年3月〜2010年3月の卒業生の進路は、大学院修士課程・博士課程前期課程進学(京都大学文学研究科、神戸大学人文学研究科)、教員(私立洛南高校など)、公務員(京都市役所、西宮市役所)および企業(毎日放送、能勢電鉄、ゼンリン、NTTドコモなど)と多彩かつ堅実であったが、卒論のフィールドであった地域への就職がひとつの特色となっている。この他、情報システム等の企業からの求人もあり、進路にはさまざまな可能性がある。


教員からのメッセージ

 地理学とは、単純に言えば、地域/景観/場所を調査する学問です。そのための地図や統計などからの情報収集はもちろん、実際に調査地を歩き、現地の人々と折衝することで、五感を通じて身体的にそれらを理解していくことが重要となります。地理学専修では、巡検や実習で各地を廻ります。参加者が各自事前に準備をして発表し、現地調査を行うのです。そうして徐々にスキルアップし、一端のフィールドワーカーへと成長していきます。

(大城直樹)


卒業生からのメッセージ

 地理学教室で学ぶと、外を歩くことが好きになります。なぜなら、歩くことによって発見すること、歩かなければ発見できないことがたくさんあるからです。カリキュラムの中にも課外実習など座学では学ぶことのできない、内容の濃い講義が多く組み込まれています。文献を中心にした研究ももちろんですが、私は地理学の原点は、「自分の足で歩いて、見て、感じる」ことだと思います。少しでもこの言葉に共感できる人は地理学を学んでみてはいかがでしょうか? 地理学教室にはこのような感性を持った人間が多様に集まっており、きっと刺激的で充実した大学生活を送れるはずです。

(戸谷 優宏 2010年3月卒業 毎日放送制作局勤務)

 

 外を出歩いていると、ふと土地の雰囲気の違いを感じ取ることがあります。漠然とした感覚ですが、この違いには、それぞれの土地が培ってきたモノの違いが内包されています。地理学では、文献を中心にした研究に留まらず、実際に外に出て自らの感性を研ぎ澄ませることで、このような違いに答えを見出せます。私も地理学を学んで、より多彩に街の風景をイメージ出来るようになりました。地理学教室も同じように多様な人たちで溢れていて、楽しい中にも常に刺激的な発想が飛び出しています。皆さんも地理学教室で「授かる」のではなく「感じ取る」大学生活を送りませんか?

(塩見 侑吾 2008年3月卒業 人文学研究科在学中)

 

 「地理」を学びたいと入った教室で待っていた「地理学」は、想像していたものと、かなり異なる学問でした。地理学では、文献調査だけでなく現地調査も重視します。地形図だけではわからない地域の姿を自分の目で確かめる「まちあるき」は、いつも驚きに満ちています。私は全く縁のなかった地域をフィールドにしましたが、調査を通じて愛着が湧き、今ではそこに帰りたくなる程です。見慣れた景色の中には、地理学の対象がたくさん埋もれています。好奇心に満ちた生活を送りたいという期待を、地理学は裏切らないでしょう。

(纉c 伸平 2008年3月卒業 西宮市役所勤務)

 

 私が地理学を学ぶ事になったきっかけは、一回生の時に受けた少人数ゼミでした。高校の地理とは全く違って驚きましたが、街を歩き回り、自分の目や耳で確かめる研究方法に魅力を感じました。地図を片手に歩き回り、実際に地形を見ながらその意味を教わったり、聞き取り調査をしたり、街の変遷を考えたり…ただ教科書を読んでいるだけではわからない、その地に根付いた風土や変化を肌で感じることが出来ました。卒業後も、街でちょっと変わった地形や風習に出会うと、ついその意味を考えてしまいますが、そのことをとても楽しんでいます。

(高島 紫陽 2008年3月卒業 京都中央信用金庫勤務)

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