文学部長 藤井 勝(FUJII Masaru)
人文学とは、「人間とは何か」、「社会とは何か」という問いに答えようとする人間の営為の結晶です。この人文学的営為は、グローバル化と科学技術の急速な進展が社会構造の再編、文化価値の変動、言語表現の変容を引き起こしているなか、新たな倫理と社会規範への問いとして、現代的かつ現実的な意味を深めています。文学部は、まさにこの人文学の現代的課題を踏まえて、現代社会に対応しうる人材を養成すべく、教育と研究を発展させるために努めています。
文学部の教育の目的は、古典力を基盤とした社会的対話力を涵養することです。文学部の「学部規則」はこの目的を、「広い知識を授けるとともに、言葉と文化、人間の行動、歴史と社会に関する教育研究を行い、人間文化及び現代社会に対する深い教養,専門的知識,柔軟な思考能力,豊かな表現能力を有する人材を養成すること」と表現しています。
古典は、時代や民族・地域を越えて、我々の思考と知識の基盤となり、思想と精神活動の典範となるべき基礎的価値を持つ作品です。文学部の教育は、我々の「知」を支えている根幹の育成が不可欠です。このために、古典と評価される文献を教材として、徹底した少人数教育を実施しています。こうして育成された素養が、文学部の教育目的がいう「古典力」です。
他方、文学部は現代の新しい人文学的課題にも果敢に取り組んでいます。「地域連携センター」、「海港都市研究センター」、「倫理創成プロジェクト」、「日本語日本文化教育インスティテュート」を独自に設置して、地域文化の継承、人・モノ・文化の移動と文化創造、倫理と社会規範の検証、言葉と文化の変容を研究課題とするプロジェクト研究を組織し、学生の教育のために新しい領域を開発しています。研究を展開し、学生を育成するために、兵庫県および県内の自治体、国連大学、東アジアや欧米の諸大学などと緊密な連携を推進しています。この教育研究システムを活用して、フィールドを生かした実践的な教育によって育成された思考能力が、「社会的対話力」です。
このように文学部は、人文学的営為の結晶を継承・発展させるべく努めています。「言葉や文化、人間の行動、歴史や社会に対する幅広い関心と好奇心を持っている人」、「既成の価値観にとらわれることなく、自分で問題を発見し、追求していくことができる人」(「文学部アドミッションポリシー」から)が文学部に進学してくださることを、私たちは心から期待しています。