ドイツ文学専修って何をするところだろう? ドイツ語を母語とする人々が暮らす国や地域、つまりドイツ、オーストリア、スイス、東欧の一部の精神文化を学び研究する専修です。ゲーテやトーマス・マンなら、だぶん誰もが知っているでしょう。『ファウスト』や『魔の山』は、人類の文化遺産として誰もが認める芸術作品です。しかし、本専修では文学にとどまらず、ベートーベン、ワーグナーに代表される音楽や、カントやへ一ゲルといった哲学を含む広義のドイツ文化を対象領域としています。ナチスや戦争の忌まわしい思い出が遠いものとなり、戦後のヨーロッパをリードしてきたドイツも、ベルリンの壁の崩壊や東西両ドイツの統一を契機に新しい時代に入りました。精神科学や医学の分野における歴史的な遺産を継承しながら、優れた工業力や農業生産を背景に、フランスをはじめとする近隣諸国と手を組んでEU内でリーダーシップをとっているのが今日のドイツの姿です。そうしたドイツ語圏の文化を多面的に探りつつ、語学や論理的思考の能力を広汎に養成していくのが本専修の特色です。
1年生の段階で、最初歩からドイツ語の授業があり、さらに中級、上級と積み上げ式に語学力の養成が行われます。文法や読解ばかりでなく、作文やネイティブの教師による会話の授業もあり、新しい外国語を短期間のうちに身につけることができます。原書講読は、本専修でもっとも重視するところで、たいていは少人数の演習形式で行われます。丹念に辞書を引いて訳語を考え、そして教員の懇切丁寧な指導を受け、学友の訳に耳を傾けることによって、飛躍的に読解力が身につきます。卒業論文を重視するのが、文学部の特色で、自らのテーマを掘り下げ、調べあげることによって真の原典理解に達することができます。
| 山口 光一 教授 | ドイツ現代文学。特に20世紀前半の文学および音楽。シェーンベルクを中心とする新ヴィーン楽派の研究や神話としての文学の研究にも取り組んでいます。 | 教員紹介 |
| 増本 浩子 教授 | 現代ドイツ文学。特に20世紀のスイス・ドイツ語文学。ブレヒト以降の演劇論や、スイスにおける多言語多文化主義といったテーマにも取り組んでいます。 | 教員紹介 |
「『チャンドス卿の手紙』における言語観について」「『流刑地にて』におけるカフカの世界観について」「エーリッヒ・ケストナー研究―『ふたりのロッテ』の結末についての一考察―」「トーマス・マンの初期短編作品における人物像についての考察」「フランツ・カフカ『失踪者』―1915年9月30日の日記をめぐって―」「トーマス・ベルンハルト『消去』における言語の問題について」
本専修の卒業生は、多彩な方面へと就職していますが、朝日新聞社、ノースウエスト航空、全日空、日本郵船、日本生命、高校英語教員と、語学力を生かした職場に迎えられる者が多く、留学中に日本の企業のドイツ支社に採用され、そのまま欧州にとどまっているケースもあります。これと並んで少なからぬ先輩たちが大学院へと進み専門研究者への道を歩んでいます。
ドイツ語で書く作家たちの出身地はドイツ、オーストリア、スイス、チェコ、トルコ、ロシアと実にさまざまです。ドイツ語圏の国々はヨーロッパのちょうど真ん中に位置し、歴史的にも文化的にも他のヨーロッパ諸国と緊密な関係を持っています。ドイツ文学を通じてドイツ語圏の文化や社会、歴史を知ることは、ヨーロッパを理解する鍵です。ドイツのみならず広くヨーロッパに興味のあるみなさん、ドイツ文学を学んでみませんか?
(増本浩子)
私は第2外国語でフランス語を選択していました。しかし、1年のゼミでグリム童話について発表してから、もっとドイツ文学を勉強したいと思うようになり、思い切ってドイツ文学専修を選びました。ドイツ語がわからないので最初は不安でしたが、1回生用のドイツ語の授業に出て基礎を固めることはできたし、あらに専修の外書講読の授業で一語一句を追うことで、文学をより深く味わうことができるようになりました。ドイツ語に自信がある人はもちろん、自信がない人も、やる気さえあればしっかりと学ぶ土壌は整っていると思います。私は偶然、語学を生かせる職に就くことができたので今後もドイツ語を続けていこうと思っています。
(山口 菜穂子 2009年3月卒業 全日空輸勤務)
皆さんはドイツ文学と聞いてどんな印象を持たれるでしょうか。「難しいドイツ語とずっと付き合うなんて!」しかし語学というのは実は楽しいのです。厳格だが美しいドイツ語との触れ合いは言葉に対する感性を育てます。また文学研究は、作家の人生だけでなくその歴史的背景、哲学、政治経済から宗教に至るまで様々なアプローチが可能です。少しでもドイツに興味がある方なら、独文のゼミで何かを得ることができると思います。
(藤井 健一 2001年3月卒業 姫路市市役所勤務)
ベートーベンの歩いた街に憧れ、「くるみ割り人形」の世界を夢見た私が初めてドイツを訪れたのは今から5年前です。木組みの家々、出窓を飾る花、街を流れるクラシック音楽のBGM…憧れのドイツは想像以上にきらきらと輝いていました。すっかり虜になった私はそれから毎年ドイツを訪れ、去年は念願のクリスマスマーケットに行ってきました。都市毎に開かれるマーケットは、色とりどりのイルミネーション、アーモンドやソーセージを焼く匂い、体を温めるグリューワインと心を暖める人々の笑顔…。行くたびに新たな魅力を発見できるドイツ。そしていつも優しく迎えてくれるドイツ。そんなドイツが私は大好きです。
(原賀 史歩 2007年3月卒業 人文学研究科在学中)