文字通り、中国の文学を対象とした学問です。3000年余りに及ぶ歴史とヨーロッパ全体に匹敵する国土、そして12億の人口を擁する中国。この壮大なスケールを誇る中国の文化に取り組むためには、まずは中国語を読む訓練が必要です。いわゆる読み下しには頼らず、漢字一つ一つの音(ピンイン)を調べて、中国語で発音してみるところから演習の準備は始まります。さまざまな辞書や参考書にあたりながら意味を解釈していく作業は地味ではありますが、漢字の羅列でしかなかったものから立体的な文学イメージを構築できたときの達成感は十分その苦労に報いるものです。神戸大学の中国文学専修では、中国の大学から招いた特任教員による講義が開かれており、学生は現地で第一線に立つ研究者から直接授業を受けることができます。また、古典文学と現代文学の担当教員を1人ずつ配して、学生が自分の興味に従って選んだ研究をサポートする体制をとっています。更に自分の研究テーマだけに閉じこもることなく、さまざまな時代、さまざまなジャンルの生きた中国文化に出会うために、「文学」に限らず、「中国語学」、「中国思想」に関する授業も提供されています。
授業は大きく講義と演習の2種類に分けられます。2010年度前期、講義では「中国文学に見る隠逸」、「90年代の文学潮流」、「現代中国語概説(中国語による授業)」が開講されました。教員が一方的に話をする講義に対して、演習とは文献を読むための技術訓練の場であり、学生が主役となって活発な議論をすすめることが求められます。2008年度前期は唐詩と巴金を訳読しました。また中国語ネイティブの特任准教授の指導のもとに、中国語によるアカデミックライティングに取り組みました。この他に学生による論文構想発表があり、構想中の論文について教師や同級生と活発な討論を展開しています。
| 釜谷 武志 教授 | 古代中世中国文学。漢代から六朝期にかけての、詩と音楽の関係、文学と語りものとの結びつきに、関心を持っています。 | 教員紹介 |
| 濱田 麻矢 准教授 | 近現代中国文学。女性文学全般に興味を持っていますが、特に1940年代、日中戦争から国共内戦期にかけての小説の諸相に関心を持っています。 | 教員紹介 |
| 賀 桂梅 特任准教授 | 中国同時代文学研究、20世紀中国思想史研究、同時代中国文化批評。(外国人教師) | 教員紹介 |
「蕭紅について―白朗との比較から見えてくるもの―」「『笑府』―馮夢龍と笑い―」「紅楼夢考察―賈家の没落を巡って―」「郁達夫の日記について―『日記文学』と『再談日記』に見る日記観の変化―」
商社や新聞社などの民間企業に就職して語学力を発揮している人もあれば、コンピュータ関連会社でソフト開発に取り組む人もいます。国語の免許を取得して高校の教師になる卒業生もいましたが、教職の間口が狭くなった今では、公務員試験に挑戦する人が増えています。また、博士課程前期課程に進んでさらに研究を続ける人もたくさんいます。修士号取得後は教育職に挑戦する人、博士課程後期課程に進んで留学を目指す人など、さまざまです。
書籍だけでなく、ネットや映画、音楽、演劇など、多くの中国語に触れることで、今までの中国語圏へのイメージが大きく変わることと思います。人民共和国はもちろん、台湾や香港、あるいは東南アジア、さらに北米でも中国語を使った文学創作が行われています。中国文学は、深い奥行きと魅力を持った研究対象です。中国語に触れることは小さなスタートですが、そこから先は興味と努力次第でどこまでも進んでいけると思います。
(濱田麻矢)
漢文が好きだからと専攻したのに、受講するうち20世紀文学に興味が移りました。そうすると今度は「リアル」な中国も見たくなり、交換留学で中国に行かせて貰いました。今は新聞社で働いてますが、いつかまた中国に行き、そして今の中国を伝える記事を書きたいものです。近くて遠い国、中国。未だに『三国志』と『論語』ぐらいしか知られていないかもしれませんが、一度扉を開けると魅惑の中国ワールドが待っています。
(弘田 恭子 2001年3月卒業 毎日新聞社勤務)
「中国文学」と聞くと難しそうなイメージが浮かぶかも知れません。けれども例えば孫悟空の活躍する『西遊記』なら、幼い頃に一度は読んだことがあるのではないでしょうか。私にとってこうした物語は子供の頃から親しみのあるものでした。中国の広大な大地に育まれてきた文学をより知ってみたい。そんな風に思ったものの、初めは勉強の仕方さえ解らないような有様でしたが、その文章が生まれた背景を学んでいくことでどんどん読むのが面白くなっていきました。世界中に存在する物語の数にはきりがありませんが、その中で、一生読み続けたいお気に入りを見つけられたと思います。
(山本真利江 2008年3月卒業 リクルートスタッフィング勤務)
ゲームやマンガなどで「三国志」に興味を持っている人は多いと思います。私もそんな一人でした。そして、原文を読んでみたいと思ったのがきっかけで中国文学を学び始めました。最初はもちろん、苦労の連続です。でも、「読む」という作業のおもしろさを知ってしまったら、そうそうやめることはできません。「三国志」についても新しい発見が山ほどありました。中国語を読めるようになったら、日本語の翻訳だけではわからない、「三国志」の世界が開けてきます。
(竹内 真彦 1995年3月卒業 龍谷大学経済学部准教授)