人間の存在を考える際に、こころの問題は重要である。物理的、機械的な側面に還元されない、心理的、精神的な側面に、人間の存在の本質があると考えることができるからである。また今日、物質的な繁栄ばかりではない精神的なこころの豊かさが求められるようにもなってきている。意識や精神のはたらきとして、様々な手段を用いて「こころを見る」ことは、人文学の諸研究のなかでこれまでに大きな蓄積がなされてきている。
このような基盤の上に立って本講座では、こころをめぐる議論を、本学部教官の専門分野に即しつつ、人文学的な多角的な観点から展開する。その際、こころと対をなす身体の問題も重要な論点となる。公開講座の具体的なテーマとしては、物理的世界の中に意識がどのように位置づけられるのか、乳児は物理的世界、対人的世界をどのように認知し言語を獲得していくかについて、天皇制と身体との問題、遺影、死後直後の写真、心霊写真といった写真(イメージ)をもとにこころをどのようにとらえることができるのか、無意識の世界から文学に代表される象徴的な世界がどのように生まれてくるのか、といったことが論題となる。
こころの諸相をとらえる、理論的ならびに具体的な多様なアプローチを通じて、人間存在の豊かさや深さを明らかにすることが本講座のねらいである。
| 講義内容 |
講師 |
| 【第1回】 機械は意識をもつことができるか |
助教授 羽 地 亮 |
| 【第2回】 ことばの獲得 |
教 授 小 椋 たみ子 |
| 【第3回】 天皇のこころと天皇制というシステム |
教 授 鈴 木 正 幸 |
| 【第4回】 写真を見る心 ―― 心霊写真を見る |
助教授 前 川 修 |
| 【第5回】 こころの奥底を捉える |
教 授 枝 川 昌 雄 |