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防災に関する人文学的研究

特に1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災に鑑み、人文学の手法を活かし、日常的に実践可能な「防災文化」を培うことに貢献する取り組みを行っています。災害やリスク・ハザードに事前に警戒するような、コミュケーションを住民、地域社会、行政、防災機関、NPO/NGOなどあらゆるステークホルダーとともに推進することをめざしています。

活動実績

神戸大学による防災教育への取り組み

  • 「倫理創成プロジェクト」-防災文化研究
  • 現代GP「災害教育システムの開発と普及」-防災教育システム
  • 「地域連携センター」-地域防災資料収集・研究
  • 「都市安全研究センター」-都市安全と防災
  • 「ヒューマンコミュニティ創成研究センター」-地域社会の市民組織・団体との連携

ー 震災時のアスベストリスクに関する教育研究

  1. 平成24年度東北大学等との連携による震災復興支援・災害科学研究推進活動サポート
    経費「住民参加による被災地のアスベスト飛散調査への参加・協力」
  2. 平成25年度東北大学等との連携による震災復興支援・災害科学研究推進活動サポート
    経費「震災時のアスベストリスクに関する啓発パンフレットの作成」
  3. 平成26年度東北大学等との連携による震災復興支援・災害科学研究推進活動サポート
    経費「被災地でのアスベスト・リスクコミュニケーション活動」
  4. 平成27年度東北大学等との連携による震災復興支援・災害科学研究推進活動サポート
    経費「予防的アスベスト・リスクコミュニケーション活動:震災後を見据え」

ー 改訂新版『石の綿—終わらないアスベスト禍』の刊行

  • 目次
  • 第1部 終わらないアスベスト禍
    • 第一章 洗濯曝露
    • 第二章 クボタ・ショック
    • 第三章 泉南−国賠訴訟の原点
    • 第四章 震災とアスベスト
    • 第五章 アスベスト・ポリティクス
    • 第六章 エタニット−史上最大のアスベスト訴訟
  • 第2部 現状を点描する−問題解決のために
    • Ⅰ. アスベストによる健康被害の状況−世界と日本
    • Ⅱ. 医療関係−胸膜中皮腫の治療法と薬剤
    • Ⅲ. 関連法規から
    • Ⅳ. アスベストによる健康被害に関する訴訟・補償
    • Ⅴ. 行政によるアスベストリスク対策の課題
    • Ⅵ. 新たなネットワークの立ち上げ
    • Ⅶ. 世界のアスベスト事情−アジア地域における白石綿の使用禁止を焦点に
    • Ⅷ. リスク・コミュニケーション−アスベストの飛散事故と曝露を防ぐ
    • Ⅸ. 参考資料

2018年、京都精華大学と協力し、『石の綿−終わらないアスベスト禍』(監修 松田毅・竹宮惠子)を神戸大学出版会から出版しました。この本は、2012年初版の 『石の綿 マンガで読むアスベスト問題』(かもがわ出版)の改定版です。第一部では、2012年以降の状況の変化を反映させるため、前作の「泉南」を「国賠訴訟の原点」として一部を改作し、また、ストーリー・マンガとして新たに、「震災とアスベスト」、イタリアのエタニット社経営者に対する訴訟を描いた「エタニット−史上最大のアスベスト訴訟」の二編を加えました。第二部では、特に重要な課題である医療や補償、訴訟やリスクコミュニケーション、市民運動、世界全体の動向に関するコラムとして、アスベスト問題の現状が紹介されています。

この本の出版が契機となり、2019年3月開催の神戸大学大学院人文学研究科70周年記念事業キックオフシンポジウム「MANGA――人文学研究の新展開」のセクションとして「機能マンガの可能性:日本とイタリアのアスベスト・マンガから考える」、メタ科学技術ワークショップとして「イタリアから考えるアスベスト被害:カザーレ・モンフェッラートからの報告」を行いました。関西地区のアスベスト被害者団体・支援者(弁護士、ジャーナリスト、研究者など)も参加し、活発な意見交換の場となりました。

これらのシンポジウムやワークショップの様子はイタリアのカザーレ・モンフェッラート市の新聞でも報道されました。

また、「実用マンガ」の描き手、日本語研究者、イタリアのアスベスト・マンガの制作者も参加した「機能マンガの可能性:日本とイタリアのアスベスト・マンガから考える」のセクションの討議内容は、2020年3月に神戸大学出版会から刊行の『マンガ/漫画/MANGA -人文学の視点から』(前川修・奥村弘編)の5章「機能マンガの可能性:日本とイタリアのアスベスト・マンガから考える」に採録されています。
マンガ/漫画/MANGA -人文学の視点から-

ー 防災ゲーム「クロスロード 震災とアスベスト版」の制作

2015年度、「クロスロード 震災とアスベスト版」を倫理創成プロジェクトのメンバーである松田毅教授と神戸大学の学生が試作・試行しました。クロスロードは、防災のために開発された意思決定ゲームです。参加者は、イエスとノーが書かれたカードを一枚ずつもって、読み上げられた問題に対して、いずれかのカードを選びます。読み上げられる問題は、自分の立場、災害に関する特定の状況、そして、その状況の中での判断や行為についてのイエス、ノーで答えられる問いからなります。このようなルールによって、実際の災害時に行われた厳しい意思決定や想定されるジレンマについて他の参加者とともに考えられるよう設計されています。

「クロスロード 震災とアスベスト版」で試作された課題

「震災とアスベストを考えるシンポジウム」ポスター

クロスロード実演についての新聞記事

このクロスロードの「震災とアスベスト版」制作の出発点となったのは、阪神淡路大震災でのアスベスト曝露による健康被害です。震災の後、瓦礫処理などによるアスベスト曝露が原因で中皮腫を発症し、労災認定を受けた複数の事例があります。「震災とアスベスト版」制作に参加する学生はこうした状況を学習した上で、「震災とアスベスト版」の試作に参加しました。
そして、2015年11月に、防災活動のモデル校に指定されている徳島県海部郡海陽町の宍喰中学校でこれを試行しました。
2019年、カードゲーム「クロスロード」は、登録商標「クロスロード」の創案・制作者のひとりで著作権等の管理運営も行っている慶應義塾大学商学部・吉川肇子教授と覚え書きを交わし、名称の使用が公認されています。2020年1月11日には、神戸クロスロード研究会などのNPO、研究者、弁護士、ジャーナリストらと協力して共催した「震災とアスベストを考えるシンポジウム」(神戸市勤労会館、200名程度が参加)で実演し、参加者からは大変好評でした。

「震災とアスベストを考えるシンポジウム」ポスター

クロスロード実演についての新聞記事

ー マスクプロジェクト

動画を再生できない場合はこちらをご覧ください

2011年

2011年3月12日

2012年

2013年

2014年

2014年盛岡でのパネル展示の様子

これまで開かれた主な研究会・シンポジウム

  • シンポジウム「持続可能な社会と防災教育の普及」(主催:神戸大学防災文化と倫理規範委員会、後援:国際防災・人道支援協議会、2008年3月)
    パンフレット
  • シンポジウム「防災文化の創成」(神戸大学・兵庫県共催、2007年1月)
    パンフレット

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