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・この研究室では、一週間に講義が一回、学部生対象のゼミが一回、大学院生対象のゼミが一回と計三回の授業が行われている。その内容は主に西洋美術史であるが、必ず日本・東洋の美術史にもふれ、偏りのない幅広い知識を得ることができる。

・たとえば昨年の講義では宗教画・肖像画・静物画というようにその内容はジャンルで区切られてきたが、講義の展開は現代にいたるまでの西洋美術史の変遷という形でなされた。そのため静物画を扱った講義では古代の静物画から始まり、ポップ・アートで終わるという流れをとった。

・学部生対象のゼミでは、基本的に英語文献の講読が行われている。しかし単に講読をするだけではなく、発表者は各ページに印刷された作品についても調べ、訳とともにその作品と作者の説明をしなくてはならない。ちなみに昨年度はE・H・ゴンブリッチが監修した展覧会「Shadows」のカタログを読み、美術史における影や陰影表現について幅広く深い知見が得られた。

・大学院生対象のゼミでは、主にイタリア語文献の講読が行われている。これも単なる講読ではなく、発表者は講読内容と関連した問題について独自の発表をしなくてはならない。ちなみに昨年度は「芸術用語辞典」(Dizinario dei termini artistici)を使い、各自が自らの専門に近い美術用語を選び、関連する文献を広く調べて発表を行った。

・卒業論文、修士論文の指導に関しては、基本的にそれだけのための授業はないが、各自が先生とコミュニケーションをとることでなされる形式をとっている。しかし発表の場が皆無というわけではなく、各ゼミで1〜2回程度の機会は与えられている。

・ところでこのゼミでは授業の一環として月に1〜2度必ず見学会が日本・東洋美術史のゼミと合同で催されている。訪れる場所は特別展の有無にかかわらず近畿一円の美術館、博物館である。訪れた美術館では必ず先生によるギャラリー・トークが行われる。そしてその際には各生徒に前もって作品がわりふられ、現地で調べてきたことを発表する場合もある。
ちなみに見学会の後は非公式の懇談会があり、そこで学生一人一人に対するきめ細かい指導と活発な意見交換があり、研究室の親睦をはかるのにも役立っている。

・概して先生を中心にアットホームな雰囲気が漂っており、開放的な神戸大学の中でもひときわ和気あいあいとした研究室である。


神戸大学文学部美術史研究室 制作
arthist@kobe-u.ac.jp