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最近の著作から 2005年度

文学部広報誌『文学部だより』の「最近の著作から」欄から文学部教員の著作を紹介します。

これまでの著作紹介

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2005年

『本居宣長の思考法』 田中 康二(単著)

『本居宣長の思考法』 田中 康二(単著)

国学の大成者である本居宣長(1730~1801)については、数多くの著書が書かれ、実に多くのことが論じられてきた。だが、それらのほとんどは、近代以降に細分化された研究ジャンル内から成された一面的な見方であり、いまだ宣長学の全容を解明する視座を持ち得ていない、というのが実状である。そこで本書では、そのようなジャンルの細分化により分断された宣長学の全貌に迫るべく、「思考法」という観点によるアプローチを採った。「思考法」とは、「思考」と「言語」との密接不可分な関係を熟知していた宣長が、古典作品に注釈を施す際に実践した思考の様式のことである。宣長学には、近代的知の枠組みを先取りすると同時に、それを乗り越えるヒントが隠されていることを確信する。

2005年12月 ぺりかん社 4,800円(税別)

『軍事奴隷・官僚・民衆:アッパース朝解体期のイラク社会』 清水 和裕(単著)

『軍事奴隷・官僚・民衆:アッパース朝解体期のイラク社会』 清水 和裕(単著)

イスラーム帝国として知られるアッパース朝は、8世紀中頃に北アフリカから中央アジアに及ぶ巨大帝国を創りあげた。しかし、9世紀半ばになると、この帝国も内部的な変質を遂げ、徐々に解体への道を歩み始める。本書は、500年間にわたって中東・西アジア世界に多大な影響を与え、また今日の「イスラーム世界」を生み出す母体となったアッパース朝の解体過程を、アラビア語史料に基づいて、軍事制度の変質、土地所有体制の変動とそれに対する官僚の対応、そしてそれらの変化が民衆社会に与えた影響といった諸側面から検討し、その世界史的意味を考察したしたものである。

2005年11月 山川出版社 5,000円(税別)

『統語構造と文法関係』 岸本 秀樹(単著)

『イタリア・バロック―美術と建築』 宮下 規久朗(単著)

日本語と英語の統語構造と文法関係に焦点を当てて、日英語に共通する特性は何かを考察しています。現代言語学、特に、生成文法の視点から、文の統語構造および意味関係(文法関係)について、日英語の共通の基盤は何かということを考えています。取り上げているテーマは、日英語の階層構造、非能格性と非対格性、存在・所有構文、およびその拡張、状態述語の他動性。英語において観察されている言語現象やその一般化が、基本的には日本語においても観察できるということを言語データの考察を中心にしながら論じています。

2005年2月 くろしお出版 4200円

『転換期における中国儒教運動』 森 紀子(単著)

『転換期における中国儒教運動』 森 紀子(単著)

近年の中国において、儒教思想の復活、再評価にはめざましいものがあります。本書は、明末そして清末民初という、中国近世、近代の二大転換期に焦点を当て、講学活動や孔教運動などを対象として、動乱期における儒教思想の変容と社会的役割、さらには時代を通底して継承される思想要素を考察し、儒教思想の本質およびその蘇生力にせまろうとするものです。

2005年2月 京都大学学術出版会 4200円(税別)

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