HOME > ニュース&トピックス >第7回「インターナショナル・アクティブラーニング in ヒロシマ」が開催されました

第7回「インターナショナル・アクティブラーニング in ヒロシマ」が開催されました

2018.11.15

第7回「インターナショナル・アクティブラーニング in ヒロシマ」1

第7回「インターナショナル・アクティブラーニング in ヒロシマ」2

第7回「インターナショナル・アクティブラーニング in ヒロシマ」3

 2018年11月9日(金)-11日(日)、KOJSP及びグローバル人文学プログラムの取り組みとして、第7回「インターナショナル・アクティブラーニング in ヒロシマ」が開催されました。広島や平和問題などへの高い関心から今回の参加者は例年以上に多く、オックスフォード大生10名を含む世界各国からの留学生27名に加え、日本人学生6名の計33名でした。コーディネーターとして、嘉指信雄教授、白鳥義彦教授、南コニー助教の三名が同行しました。
 11月10日早朝の全体ミーティングの後は、広島平和記念資料館を訪れ、原子爆弾による被害の概要を示す常設展示や新着資料展を見学しました。その後は平和記念公園を散策し、事前にKOJSP生が折ってきた折り鶴を奉納しました。
 また原爆ドームの前では、被爆者のご遺族などの貴重なお話を聞くことができました。学生たちは深い感銘を受けたようで、写真を撮ったり、署名活動に参加したりするなどしていました。午後3時からは、平和公園横の広島県民文化センター研修室にてワークショップが開催されました。このワークショップは、主に英語を使う国際ワークショップとして、NPO法人・ひろしまジン大学と共催で開催されたもので、現地広島で学んでいる学生や留学生などが加わり、参加者数は50名を越えました。
 まずイントロダクションとして、このイベントの目的などが説明された後、前半の第一部では、嘉指教授、平和文化村共同代表スティーブン・リーパーさん、NPO法人「これからの学びネットワーク」の福岡奈織さんの三名から、それぞれ20分ほどの提題がされました。嘉指教授は、「近うて遠きもの・遠くて近きもの~フクシマ後に考える核問題~」のタイトルのもと、核問題をめぐる日本のジレンマ、外部被ばくと内部被ばくの違い、アジアからみた広島などについて、『鉄腕アトム』や栗原貞子の「ヒロシマというとき」、福島在住の詩人・若松丈太郎などに言及しつつ話されました。
 つづいてリーパーさんは、アメリカ人として初めて広島平和文化センター理事長となり、「平和市長会議」などの国際的活動に関わった経験や、現在取り組んでいる「平和文化村」の活動について熱く語ってくださいました。とりわけ、署名活動の意義や核廃絶の可能性をめぐる留学生との質疑応答は、核問題の核心をつく、白熱したものとなりました。最後に、福岡奈織さんは、「非核ユース特使」としての経験や、核実験の汚染被害が続く南太平洋での研究調査などの経験にもとづき、広島・長崎だけに限らない「グローバル・ヒバクシャ」の実態や、一方的に、「ヒロシマ」をアピールするのではなく、まずは、世界各地で苦しむ人々の声に耳を傾けることの重要性について、スライド写真を交えて報告してくださいました。
 後半の第二部では、福島奈織さんがファシリテーター役となり、参加者全員が6つのグループに分かれて自己紹介を行ったあと、「あなたの国は平和ですか」といった問いをめぐって自由に意見を交わすディスカッションを行いました。セッションの最後では、原爆死没者慰霊碑に刻まれている「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」をテーマとしてグループ・ディスカッションを行った後、順次メンバーが入れ替わってゆく「ワールドカフェ」方式にしたがって、たくさんの意見や考えを共有することができました。
 原爆投下によって世界がどのように変わってしまったのか、核兵器のない世界を作るためにはどのような教育が必要か、原発問題などをめぐって、大変興味深い意見の交換がなされました。とりわけ、お互いの異なるバックグラウンドや経験に由来する見方の違いを知ったことは、多くの参加者にとって大変刺激的で考えさせられることだったようです。熱気にあふれた約4時間のワークショップは、白鳥教授による、「今回のワークショップは、まさに集団的記憶(collective memory)を築いてゆく実践として捉えられるのではないか」という言葉で締めくられました。
 好天にも恵まれ、翌日は、世界遺産の宮島、広島城、広島現代美術館などを訪れ、広島の歴史と文化に触れることもでき、大変充実した二泊三日の広島滞在となりました。

(文責:神戸大学大学院人文学研究科 南コニー助教・嘉指信雄教授)

ページトップへ